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プライバシー保護がスナップチャットの成長戦略

2017年3月21日(火)11時20分
ケビン・メイニー

だからこそ、このタイミングでのスナップのIPOは重要な意味を持つ。同社はあらゆる個人情報を大量に吸い上げなくても、継続可能なメディア事業を築けることを実証しつつある。

スナップのIPO申請書類によれば、1日当たりのアクティブユーザーは約1億6000万人。16年の売り上げは約4億ドル(15年の5900万ドルの6倍以上)に達した。同社は猛スピードで成長を続けている。

急成長の秘訣は、プライバシーを侵害しないことかもしれない。投稿した写真や動画がすぐに消えるサービスを売りにしたスナップチャットのビジネスモデルは、顧客の全行動をデータ化する必要はないという考えに基づいている。

【参考記事】ネット接続の大人のおもちゃで2人のヒミツがダダ漏れに

インターネット出現以前の数千年間、会話は終わった瞬間に消えてなくなるものだった。自分が歩いた場所を記録する機器などなかった。読み終わった新聞からどの記事を読んだかチェックされることもなかった。

プライバシーをユーザーに「返す」ことで支持を得るというのがスナップの戦略だ。それが正しければ、「未来は過去のようになる」可能性がある。多くの国民が監視国家の影に怯え、プライバシーを取り戻そうとする時代は、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。

[2017年3月21日号掲載]

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