最新記事

韓国

朴槿恵大統領、韓国憲法裁が罷免を決定 疑惑発覚から半年で

2017年3月10日(金)19時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

一方で、憲法裁はパク大統領が職権を乱用して公務員人事に介入したかどうか、言論の自由を侵害しているかどうかなどは明確でないため、弾劾理由に認められないとした。 また、セウォル号事故と関連して「国民の生命が脅かされる災害が発生したとして、パク大統領が直接、救助活動に参加しなければならないなど具体的かつ特定した行為義務まですぐ発生したと見ることは難しい。大統領職務を誠実に履行しなかったというのは弾劾審判の判断の対象になっていない」と説明した。

イ・ジョンミ所長代行は「裁判所は、国民から与えられた権限によって行われるこの判決が、国論分裂と混乱を終息させ、和合と治癒の道に進む土台になることを願う」と述べた。

【参考記事】[動画]韓国100万人の退陣コール 朴槿惠大統領、週明けに検察が聴取へ

今回の罷免決定は即時に効力が発生し、昨年12月に国会で弾劾決議が可決されてから職務停止状態となっていたパク大統領は、罷免を言い渡された時点で大統領職を解かれた。通常、任期を満了した大統領は、退任後も在任時の95%の年金が支払われるが、罷免されたパク大統領には支払われない。また大統領在任時代に保証された刑事訴追免責の特権もなくなる。このため、友人のチェ・スンシルに対する便宜を図った一連の疑惑について、今後検察の捜査が進むものと見られる。一方で、警護・警備は罷免されたパク大統領に対しても行われる。これは、罷免された大統領が第三国に拉致されて国家機密が漏らされないようにするための配慮だという。

当初、パク大統領は憲法裁で罷免されると午後遅くには大統領府を出て、ソウル市三成洞(サムソンドン)にある私邸に戻るとみられていたが、大統領府の関係者は「三成洞の私邸の状況が整わず今日は移動ができない。朴元大統領は、今日は官邸に留まるようになる」と明らかにした。この言葉を裏付けるように、三成洞の私邸には10日午後から、大統領府スタッフが次々に荷物を運び入れるなど、引っ越しに向けた準備が見られた。

newsweek_20170310_191954.png

三成洞のパク大統領の私邸 KBSの画面から

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中