金正男暗殺事件の背景 マレーシアに北朝鮮工作機関のダミー会社
政治的人脈
マレーシアにおけるグローコムの初期パートナー、ムスタファ・ヤクブ氏は、マレーシアの政権与党である統一マレー国民組織(UMNO)の有力者だ。2014年以来、彼はインターナショナル・ゴールデン・サービスの取締役として名を連ねている。
ムスタファ氏は、UMNO青年組織の国際局長として、1990年代にイラン、リビア、北朝鮮といった国々との政治的人脈を築いた。グローコムの所在地とされたリトル・インディア地区の住所には、かつてUMNO青年組織が所有する企業が入居していた。
67歳のムスタファ氏は、グローコムの事業のパートナーであったのは「何年も前」だと述べ、面識のあるキム・チャンヒョク氏を含む数人の北朝鮮人がグローコムの経営を続けていたと語った。同氏はグローコムにおける自らの役割については明かさず、現在のグローコムの事業については何も知らないと述べている。
「当時は一緒にビジネスをやることは、悪くない考えだと思っていた」。ムスタファ氏は北朝鮮事業の関係者との最初の会合について、ロイターにそう語った。ただ、それは誰だったのか、またどのような話し合いが行われたかについては、明らかにしなかった。
グローコムは、自社製品の宣伝や掲載において、北朝鮮との関係を明示していない。
ロイターが入手した2017年のグローコム製品カタログの1つには、「いつ、どこの戦場でも」というスローガンが記されている。
アジア・ミリタリー・レビューの2012年9月号に掲載された広告には、グローコムは「軍事・準軍事組織」向けの無線関連機器を開発していると書かれている。
同誌の広報担当者は、この広告がグローコムによって出稿されたことを認めたが、北朝鮮との関連については知らなかったとしている。
グローコムのウェブサイトによれば、同社は2006年以来、マレーシアで2年に1回開催される武器見本市「ディフェンス・サービス・アジア(DSA)」に少なくとも3回出展している。