最新記事
アメリカ政治米情報機関が人材流出やモラル低下の危機 トランプ政権との対立で
2月28日、米国家安全保障局(NSA)は、大規模な組織再編や政権との関係悪化に対する懸念で、人材流出のリスクに直面している。NSAの現職当局者や元当局者、サイバーセキュリティー産業の情報筋が明らかにした。写真はベルリンで2013年5月撮影(2017年 ロイター/Pawel Kopczynski)
米国家安全保障局(NSA)は、大規模な組織再編や政権との関係悪化に対する懸念で、人材流出のリスクに直面している。NSAの現職当局者や元当局者、サイバーセキュリティー産業の情報筋が明らかにした。
サイバーセキュリテイー産業の数人の幹部によると、民間で職探しをする米情報当局者や政府の請負業者が、1月20日のトランプ氏就任以降、著しく増えている。
匿名を条件に語った幹部の1人は、採用候補者の経歴に驚いたと話した。また、複数の幹部によると、政府の情報機関や法執行機関出身者から応募があり、トランプ政権下での米情報当局の行く末に関する懸念も志望動機になっているという。
ロシアや中国、イランなどの国々や犯罪集団がサイバー攻撃に対する能力を高める中、有能な技術者の引き止めや採用はここ数年、国家安全の最優先課題。NSAなどの情報機関は、有能な職員の一部がシリコンバレーなどでのより高収入なポジションに転職するのを引き留めるのに苦労している。
当局者らによると、昨年、「NSA21」として呼ばれる組織再編に着手したNSAで問題は特に深刻だという。管理体制も刷新される再編により、経験豊富な職員らが任務や将来への見通しに不安を抱いているという。
NSAの元幹部職員によると、現職の職員3人が予算の問題で昇進が望めないと話していたという。また、現職の職員と頻繁なやり取りがあるNSAの元幹部職員は、「モラルの低下」を指摘した。
NSAなどの当局からの人材流出について尋ねられたホワイトハウスのアントン報道官は、トランプ氏が中央情報局(CIA)本部を訪問し、情報機関の懸念払しょくを図る意向だと語った。