ISISの最大拠点モスル、米軍の空爆で民間人の犠牲増?
国防総省で記者会見を行ったジェームズ・マティス米国防長官は、ISISが民間人を人間の盾に利用していることを、アメリカと有志連合が「強烈に認識している」とした一方で、こう述べた。「我々は罪のない市民の犠牲を減らすため、常に人として可能なあらゆる対処を行うよう尽力している。」
有志連合はモスルの空爆をめぐって、民間人の犠牲の有無を判断する正式な調査に乗り出した。調査完了まで通常は数週間を要するという。
同じ3月17日にシリア北部アレッポ郊外のジナで数十人の民間人が死亡した空爆についても、米軍当局が調査を進めている。米軍は同日に空爆を実施した事実を認め、国際テロ組織アルカイダの会合が行われていた建物が標的だったと説明している。ソーシャルメディアでシェアされた動画には、町のモスク(イスラム教礼拝所)に隣接する建物が破壊された様子が映る。だが米軍当局はその動画について、空爆した場所とは違うと主張した。
報告を意に介さない米軍
イラクの米中央軍司令部の報道官は本誌の取材に対し、目撃者の証言や現場検証といった従来の調査方法では、有志連合が「民間人が犠牲になった疑いのある全ての事例を調査するのは不可能」だと語った。もし米軍当局がモスルの報告について信ぴょう性が高いと判断すれば、今後もっと正式な調査チームを立ち上げて、米軍による責任の有無を判断することになるという。
だが、どれほど民間人の犠牲を批判する報告が上がっても、米軍はいまだに攻撃の手法を変える姿勢を見せない。
ジョン・トーマス報道官は27日、ジョセフ・ボテル米中央軍司令官は「作戦方法の変更を検討しておらず、作戦の経過は良好で今後も進展を堅持したい」と述べた。