自民特命チーム、教育無償化に教育国債有力視 5-10兆円案も
財源に教育国債など4案
財源確保の方法について、馳・前文部科学相は「教育に使途を限定した教育国債、税制改正、消費税率10%を含めた一段の税率引き上げ、所得に応じて公的な保険料を徴収する新制度の『こども保険』創設など、4つの案に集約されつつある」としている。
ただ、同チームの1人は「色々な案をたたき台として議論するが、結局は現実的に教育国債しかないとの意見が大勢となっている」と明かす。
別の政府関係者は「未来に残る資産との位置づけであるから、教育国債は建設国債と同様に財政法4条に明記された4条国債として扱うことになる」との見解を示している。
さらに無利子非課税とする案や、購入額分を相続税と相殺できる設計にする案も出ている。
同チームでは、教育無償化が実現できれば、教育費負担不安の解消や少子化の克服につながるだけでなく、貧困対策にもなり、人口増やGDP拡大につながるとのビジョンを描いている。同時に将来の生活保護費や失業給付が抑制され、増大する社会保障関連費の削減効果も期待できるとしている。
その結果、民間試算を参考に、貧困層18万人が高等教育進学率を高めた場合、生涯所得の増加と税・社会保障純負担能力増加を合わせて4兆円程度の効果があると弾き出している。
PB黒字目標の柔軟化、求める声も
だが、財政再建の視点から財務省の反発は強い。麻生太郎財務相は「償還財源の当てはない。実質は親世代が税負担や教育費から逃げるため、子どもに借金を回すもの」(2月6日の衆院予算委員会)と否定的見解を示している。
また、安倍晋三首相は、教育支出拡大に賛成の意を表明しつつ「必要な財源を確保しつつ、実際に行っていくことが大切だ」(3月13日の参院予算委)と述べた。
こうした中で、ある政府関係者は、教育国債の導入時には「歳出枠の目安の堅持や2020年度プライマリーバランス(PB)黒字化目標を維持するのか、柔軟化するのかといった議論も必要になる」という見通しを示している。
(中川泉 編集:田巻一彦)