最新記事

韓国政治

潘基文、電撃会見で大統領選不出馬を宣言 韓国政界混迷深まる

2017年2月1日(水)21時44分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

(c) TVCHOSUN 뉴스 / Youtube

<朴槿恵(以下、パク・クネ)大統領に対する弾劾決議により、韓国政界は任期途中での大統領選挙を前提として年明けから大きく動き出している。その中心に立ってきたひとり、潘基文(以下、パン・ギムン)前国連事務総長が、1日予定外の記者会見を開き、まさかの大統領選不出馬を宣言した──>

青天の霹靂とはまさにこのことをいうのだろうか? 1日午後、パン・ギムンが記者会見を開き、語った言葉は取材陣の予想に反したものだった。

「国民大統合を達成しようと抱負を語ったことが、国連から帰国後、この3週間の短い時間だった。しかし、このような純粋な愛国心と抱負は、私の人格に対する攻撃、偽ニュースによって政権交代の名分が無くなり、私自身や家族、そして10年間奉職した国連の名誉が大きな傷をつけられ、結局、国民に大きな迷惑をかけるようになった」

韓国メディア・マネートゥデイによると、この言葉を聞いた取材陣はざわめき、記者会見が出馬取りやめの発表だと気づいたという。パン・ギムンはことここに至ったことへの悔しさもにじませた。

「一部の旧態依然として偏狭な利己主義の態度に極めて失望した。 彼らと一緒に道を行くのは無意味だという判断に至るようになった。私が主導して政権交代し、国民統合を実現しようとした純粋な気持ちを取り下げる」


大統領選挙不出馬を表明するパン・ギムン(c) TVCHOSUN 뉴스 / Youtube

パン・ギムン陣営の側近も今回の不出馬表明はほとんど知らされていなかったようだ。事実、今日のパン・ギムン陣営は、韓国の政治の中心地・汝矣島に大きなオフィスを借りる契約を行う予定で、大統領選挙に向け本格始動をするまさに当日だった。記者会見直前の昼食会でも陣営のスタッフらが、それぞれ記者たちと会って「最後まで走り抜く」と語っていたのだ。

だが、不出馬表明の会見が終わり、これまでの動きを再確認すると、パン・ギムンを取り囲む情勢が日に日に厳しさを増し、自ら不出馬をいわざるを得なかったことが理解できる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中