最新記事

広告

スーパーボウルCMは「世界一」高くても価値がある

2017年2月7日(火)16時30分
チェルシー・ハスラー

広告の祭典としても世界最大のスーパーボウル(2月5日) Robert Seale-REUTERS

<別名「広告の祭典」とも呼ばれるスーパーボウル、「世界一高い」と言われるCM料金に企業がこぞってお金を出す理由は?>

スーパーボウルといえば年に一度の日曜日、1億人を超えるアメリカ人が、地元チームへの忠誠心や長年のライバル心を忘れ、一丸となってテレビにかじりつくスポーツイベントだ。2015年には米テレビ史の記録を塗り替え、最高視聴率を獲得。史上最高のプレミアムが付いた。試合中に流されるコマーシャルの値段は30秒で500万ドルと、10年前を200%も上回る。だが、本当にそれだけの価値があるのだろうか?

これらの企業スポンサーが高いお金を払ってもいいと思う理由を理解するため、44のブランドが2017年のスーパーボウルのCMに支出した額を計算した(44ブランドの業種は自動車から消費財まで多岐にわたる)。さらに宣伝された製品の小売価格を調べ、スーパーボウルCMへの支出の元を取るためには何個売ればいいのかを割り出した。

ビールなら150万倍

それによると、採算ラインは、車なら数百台、消費財なら50万個、ビールなら150万杯、といったところだ。

ちなみに、デジタルテレビレコーダー「TiVo」が毎年発表するスーパーボウルのCM視聴率リポートによると、ベスト10入りしたブランドは、起亜自動車(2位)、ホンダ(5位)、パラマウント(7位)、GM(8位)、ディズニー(9位)など。

では、お気に入りの自動車メーカーが今回どれだけ賢くCMにお金を使ったかを見てみよう。最少額で最大の効果を上げそうなのはレクサスとメルセデスのようだ。

<参考>自動車全体で元を取るためには、全社平均で267台の自動車を売る必要がある。

■フォード
支出:1500万ドル(90秒)
販売価格:「F-150」、2万6730ドルから
採算を取るための販売台数:561台

■起亜自動車
支出:1000万ドル(60秒)
販売価格:「ニロ」、2万2890ドルから
採算を取るための販売台数:437台

■アウディ
支出:1000万ドル(60秒)
販売価格:「A3」、3万1200ドルから
採算を取るための販売台数:321台

■ビュイック
支出:500万ドル(30秒)
販売価格:「アンコール」、2万2990ドルから
採算を取るための販売台数:217台

■レクサス
支出:500万ドル(30秒)。
販売価格:「LC500」、10万ドルから
採算を取るための販売台数:50台

■メルセデス
支出:500万ドル(30秒)
販売価格:「メルセデスAMG GT ロードスター」、34万9000ドルから
採算を取るための販売台数:14台

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

核保有国同士の衝突リスク高まる、ロシア安保会議書記

ビジネス

アングル:トランプ氏が多様性政策撤廃、企業は「DE

ビジネス

伊銀モンテ・パスキ、メディオバンカに買収提案 13

ビジネス

仏サービス部門PMI、1月は48.9へ低下 需要低
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ人の過半数はUSスチール問題を「全く知らない」
  • 3
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 4
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 5
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 6
    「後継者誕生?」バロン・トランプ氏、父の就任式で…
  • 7
    電気ショックの餌食に...作戦拒否のロシア兵をテーザ…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 10
    【トランプ2.0】「少数の金持ちによる少数の金持ちの…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 4
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 9
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 10
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中