消費税率アップ、物価目標達成後が望ましい 米経済学者シムズ教授
1月30日、金融政策の限界論を提唱し、注目されている米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授(写真)は都内でロイターの取材に応じ、財政・金融政策の一体運営の重要性を強調し、消費増税は財政再建のために必要であっても、2%の物価目標達成後に実施するのが望ましいと主張した。提供写真。2011年12月撮影(2017年 ロイター/Bertil Ericson/Scanpix)
金融政策の限界論を提唱し、注目されている米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授は30日、都内でロイターの取材に応じ、財政・金融政策の一体運営の重要性を強調し、消費増税は財政再建のために必要であっても、2%の物価目標達成後に実施するのが望ましいと主張した。
日銀も当面、現在の低金利継続が必要と強調した。今回の来日中に安倍晋三首相と会う可能性は否定しなかったが、現時点で予定はないという。
シムズ教授は、2011年にノーベル経済学賞を受賞した米経済学者。昨年夏に米ジャクソンホールで、ゼロ金利制約下では金融政策のみでは物価を十分にコントロールできず、財政政策が重要な機能を果たすという趣旨の講演を行い、世界的に注目を集めた。
同教授は「ゼロ金利制約下では金融政策が機能しないため、財政政策と金融政策が連携するのが望ましい」とし、「2%の物価目標を達成するまで、消費税率引き上げのような財政緊縮策は取るべきでない」と提言した。
このためアベノミクスは「2014年の消費増税がなければ、もっとうまくいっていた」と述べた。
20年間続くデフレから脱却するためには「財政政策を物価目標の達成と連関付けるべきだ」とした。「財政拡大とは、単に支出を増やすということではなく、人々に債務の一部は物価上昇で相殺されるとの期待を認識させることだ」と指摘した。
物価目標達成までに日本がとるべき財政刺激策の具体策については「専門ではない」として明言しなかった。
ただ、「物価目標との関連から消費税(増税延期)の方が所得減税より説明は難しくないだろう」と指摘した。
PB黒字化より物価目標達成を
日本政府が2020年度の達成を掲げる基礎的財政収支(PB)の黒字化は「大切だが、2%インフレ目標の達成を優先すべき」と主張。デフレが経済的に悪であるか「理論的に説明するのは難しい」とする一方、「歴史的にデフレが経済成長に望ましくないことは知られている」とし、デフレ脱却の必要性を強調した。