ロシアハッキングの恐るべき真相──プーチンは民主派のクリントンを狙った
プーチンは政権を握ってからというもの、ロシアの国営企業に利益をもたらす数々の欧米の指導者たちと手を携え、せっせと個人的な親交を深めてきた。ある情報機関の職員に言わせれば、彼らはロシアにとって「使い勝手のいい愚か者」。プーチンにつらなる長蛇の列につい最近並んだのがトランプなのだと、報告書は示唆している。
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「プーチンはこれまで、ビジネス上の利害関係がありロシアとの取引に積極的な欧米の政治指導者とは上手く渡り合い、多くの好ましい関係を築いてきた。イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ前首相や、ドイツのゲアハルト・シュレーダー前首相が良い例だ」
報告書は情報操作をめぐるロシアの野望や行為に詳しく言及した反面、具体的な手法や証拠は明示しなかった。トランプに代表される、情報機関を信用しない人々の考えを変えられるかどうかは不透明だ。
金曜に公表されなかった機密情報が含まれる報告書には、情報機関の分析に使われた情報源や方法も記述されている。情報当局の高官が今週中に議会で証言し、議員に対して調査の全容を直接説明する予定だ。
ファンシー・ベアは使われたのか
サイバーセキュリティーの専門家と情報機関の当局者は、今回ロシアが関与した証拠を示す文書が公表されたことで、ロシアがサイバー攻撃を仕掛けた決定的な証拠が出たと主張する。今後の焦点は、ロシア軍の情報機関の意向に沿って活動していると噂される「ファンシー・ベア」や「コージー・ベア」と呼ばれるハッカー集団が用いるマルウェア(悪意のある不正ソフトウェア)、およびロシアの情報機関が管理するコンピューターの基盤サービスが攻撃に直接利用されたかどうかだ。情報流出が選挙結果に与えた影響や、ロシア側の動機の更なる解明も求められる。
ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジはロシアの関与を否定したが、報告書はそれを真っ赤な嘘だと切り捨てた。「我々は、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)がハッキングで入手したDNCや民主党側の高官の大量のメールやデータを、ウィキリークスへ提供したとする高い確証を持っている」
トランプはかねてから、情報機関がロシアの関与を調査するのは、自身の当選の正当性を傷つける行為だと批判してきた。金曜も、「ロシア当局は投票集計の改ざんには関わっていない」と明記した報告書の内容を強調した。ロシアの情報操作が選挙結果に与えた影響は、情報機関による分析の対象外だ。