米中断交さえ!? 台湾総統の米国経由外交
「1」と「2」にあるヘリテージ財団は、昨年12月5日のYahooコラム「トランプ・蔡英文電話会談は周到に準備されていた?」に書いたように、12月2日の「蔡英文・トランプ」電話会談の下準備をしたシンクタンクだ。
このたびヘリテージ財団からフルナー氏とアジア担当のローマン氏が出席したということが、12月5日の分析が正しかったことの、何よりの証拠だと自負している。
さて、筆者にとってもっと興味深いのは、なんと言っても、Project2049のシュライバー総裁が同席していたことだ。まさに昨年9月20日に、ワシントンD.C.で筆者が『毛沢東 日本軍と共謀した男』に関してスピーチをしたときの主催団体である。
昨年9月5日付け本コラム<ワシントンで「毛沢東」国際シンポジウム――日本軍と共謀した事実を追って>で詳述したように、シュライバー氏は共和党のジョージ・ブッシュ前政権時代に国務次官補代理を務めていた人物だ。中国共産党こそが歴史を捏造しているという認識を持っている。
台湾の「自由時報」は、シュライバー氏がトランプ政権においても国防部のアジア太平洋関係で、何らかの役割を果たすことになるだろうとしている。
蔡英文総統は、中米訪問後の13日にも、サンフランシスコを訪れることになっているが、そこでも再び「過境外交」が展開されるのか、その動向が注目される。
「一つの中国」原則に対してトランプ政権が掲げる「台湾カード」は、今年、アジア太平洋のパワーバランスを大きく変えていく最大の焦点になるだろう。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。