米中、日中、人民元、習体制――2017年の中国4つの予測
しかし、11日に中国人民銀行はビットコインの大手取引所に対する捜査を開始したことを発表した。全面的な取引禁止にはいたらないとみられるが、高頻度の取引やレバレッジなどの投機的行為が禁止される可能性が高い。この措置がビットコインの価格にどう影響するのかが注目だ。
(4)日中関係は"低め安定"を歓迎するべきか
最後に日中関係について考えてみたい。習近平政権と安倍政権は同じく2012年に誕生した。その後の日中関係はというと、2013年末の安倍首相による靖国神社参拝で最悪の状況となったが、その後は"低め安定"を続けている。
「日中国交正常化45周年を迎えた2017年こそ大々的な日中関係改善を実現するべき」との声もあるが、「変なことにならなければ今のままでいい」という意見も少なくない。
先日、中国に駐在する日本人ビジネスマンを取材したが、「チャイナリスクと言いますが、実は日本政府リスクです。日本側が何もしなければ、とりあえず今の環境でのビジネスは続けられるので」と話していた。
確かに韓国を見ても、2015年には朴槿惠大統領が中国の閲兵式で天安門の上に立つという大サービスを見せるほど蜜月の中韓関係だったが、2016年にはTHAADミサイル配備という決定ひとつで一気に関係が悪化してしまった。
トランプ新政権が誕生する米国という変数もあり、低め安定の日中関係が続けられるか、安倍政権の手腕が問われそうだ。
[筆者]
高口康太
ジャーナリスト、翻訳家。1976年生まれ。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『なぜ、習近平は激怒したのか――人気漫画家が亡命した理由』(祥伝社)。