SNS炎上、アイドル熱愛発覚、ペットロス......生きがいを失う男たち
郵便局員の裕也さん(41歳)は、あるアイドルを応援し、給料の大半をライブやCDに使い、SNSの書き込みを熱心に行うことが生活の中心になっていた。
しかし、ある週刊誌にそのアイドルの熱愛スキャンダルが掲載されてしまう。「ファンを裏切るようなことはしない」「結婚するまでそういうことはしません」というアイドルの言葉を信じていた裕也さんは、気持ちの整理がつかず、仕事をズル休みするほどふさぎ込んでしまった。
IT企業に務める康史さん(43歳)の趣味は、ペットの猫。毎日動画を撮影してネットにアップするほか、愛猫家のグループにも参加して交流を重ねていた。
しかし、突然愛する猫が家を出て行方不明になり、康史さんはパニック状態に。ネットの掲示板や探偵を利用するなど、必死で探したが、何か月たっても見つからない。「猫は死にそうなとき自ら姿を消す」という都市伝説を信じるほど憔悴し、愛猫がいなくなった事実を受け入れられず苦しんでいた。
3人のようなケース以外にも、「ケガでスポーツを断念した」「追いかけていたアーティストが解散した」「病気で料理やお酒が楽しめなくなった」など、突然趣味を失ってショックを受ける40〜50代の男性は多い。彼らの心境は、「生きがいを奪われた」「聖域を荒らされた」。しかも、ただ、ショックを受けるだけでなく、仕事のストレスを軽減できなくなった分、うつ状態になる人すらいるのだ。
40代の独身男性が喪失感を抱えたまま、今後数十年の人生を生きるのは、みなさんの想像以上に辛いだけに、すぐにでも手を打ったほうがいいだろう。
まずみなさんに覚えておいてほしいのは、「"生きがい"や"聖域"という感覚は、思い込みであり、行き過ぎている」こと。もともと、「ただ続けていただけ」のものにすぎず、実際「以前、生きがいや聖域だと思っていたものが、そうでないことに気づいた」という経験はないだろうか。第三者には、「あんなにハマっているのは今だけなんだろうな」と見えるし、そもそも衣食住それぞれに関わるさまざまな物がある中で、生きがいや聖域が1つだけであるはずがない。
その観点から最大の処方箋になるのは、175ページに書いた"趣味の分散"理論。趣味を1つに集中させてしまうから思い入れが強くなりすぎ、依存してしまうわけであって、いい意味で気持ちを分散させれば、喪失感は限定的であり、自分でコントロールできる。こだわりやプライドではなく、割り切りも含めて考えなければ、残りの人生を笑顔で生き抜いていけないのだ。