ナッツリターンの悪夢再び 大韓航空、機内暴力の男に翻弄される
一方でかつてトラブルのあった男をそのまま乗せていた大韓航空も非難を受けている。当初は、6人の客室乗務員が全員女性だったこと、スタンガン(スタンガンの一種)を使おうとしたが近くに他の乗客がいたため使えず、ロープで拘束したことなどを説明し、事態の収拾を図ろうとしたが、世界的な厳しい批判を受けて、27日ジ・チャンフン社長自ら出席して機内安全の向上対策についての記者会見を行った。
(参考記事:イスラム教徒ユーチューバー、「挑発的行動」でデルタ航空が降ろす)
それによると、まず問題を起こしたイム・ボムジュンについては、今月29日と来月にも大韓航空の航空券を予約していたが、これについては搭乗拒否をすることとして、25日に通知したという。大韓航空が乗客に対して搭乗拒否を通知したのはこれが初めてだという。また今後、イムについて永久搭乗拒否にするかどうかも検討中だ。
さらに、今後機内での暴動が発生したときに効率的に対応するため、現状10%しか配置されていない男性客室乗務員を増やしていくという。またスタンガンについて従来は「乗客や乗務員の生命又は身体に切迫した危険があるか、航空機の飛行の安全を維持することが危機に瀕した場合などの重大事にのみ使用することができる」という厳しい使用規定があったため、過去に機内に導入されてから3回しか利用されることがなかった。そのため規定を「暴れる人物に対し警告をして、それでも従わない場合はスタンガンを発射して気絶させる」と改めていくという。また拘束するためのロープについては、タイラップのようにひっぱるだけで締め付けられる新型のロープを披露、機内安全への取り組み強化を強調した。
とはいえ、世界的なスターのリチャード・マークスが問題を指摘しなければ、うやむやのまま、軽微なトラブルとして処理されていた可能性も高い。2年前の"ナッツリターン"事件に続く今回のトラブルは、「大韓航空の安全不感症」として韓国メディアから強く批判されている。