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独占手記【再録】キャリー・フィッシャー「肖像権を手放していなければ」
Paul Hackett-REUTERS
映画『スター・ウォーズ』シリーズのレイア姫役で世界的に有名な女優キャリー・フィッシャーが2016年12月27日、死去した。60歳だった。23日にロンドンからロサンゼルスに戻る飛行機の中で心臓発作を起こし、治療を受けていた。フィッシャーは2011年、『スター・ウォーズ』のグッズビジネスに関して本誌に手記を寄せていた。ここに再録する。
(上写真:キャリー・フィッシャー、2016年12月16日撮影)
私は19歳のとき、映画『スター・ウォーズ』のレイア姫役に抜擢された。あのときの失敗は、肖像権を放棄したことだ。
芸能人一家に育ったのになぜそんなことをしたのかと思われるだろうが、当時は肖像権のことなんて誰も知らなかった。映画のタイアップ商品を作る計画もなく、そういうものの市場規模も知られていなかったと思う。自分に魅力がないと思っていたわけではなかったが、それほど大切なものを手放したという意識はなかった。
やがていろんな人がやって来て、こんなことを言うようになった。「ジョージ・ルーカス監督から、ソックスの商品化の許可をもらいました」。娘は私の顔がプリントされたソックスでそこら中を歩き回っていた。先日はレイア姫の絵が付いたカップケーキ用の飾りを見つけて、思わず買ってしまった。
肖像権を放棄していなかったら関連グッズでいくらお金が入ってきたかなんて、もう知りたくもない。まったくひどい話だ。でも面白いこともある。最近知ったのだが、処方箋がないと買えない医療用のマリフアナに「レイア姫」という名前のものがあるそうだ。
肖像権の一件ではジョージ・ルーカスに嫌みを言い続けている。でも、彼が申し訳なさそうなそぶりを見せたことはない。そもそも19歳で肖像権のことなんて分かるはずがない。しかし、ハリソン・フォードはあのとき33歳だった! どうして知らなかったのだろう。
もう引きずりたくない
その手の話が出ていたのなら、契約の中身は同じだから私の耳にも入ったはずだ。きっとハリソンも肖像権は持っていないと思う。人生の大きな失敗だ。
失敗は実に面倒なものだ。後悔するし、自分がかわいそうになる。そんな思いを抱えて長い時間を過ごしたくない。
ドラッグに手を出したのは明らかに大きな過ちだった。そんな失敗がこれまでに何度かあった。レイア姫の肖像権の一件もそう。でも、引きずりたくはない。「スター・ウォーズ歯磨き粉」のライセンス料を払いなさいと怒るような、みっともないことはしたくない。
それでもたまに、『スター・ウォーズ』でパドメ・アミダラを演じたナタリー・ポートマンは私より稼いでいるのかな、と思うことはある。彼女がオスカー像だけでなく、パドメ・アミダラの肖像権も持っているのなら、それは頭にくる。
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[2011年9月28日号掲載]