昨日起こったテロすべての源流はアレッポにある
一方、欧州では、アレッポ陥落後の最初のおそろしい波紋がリアルタイムで広がっている。それはベルリンのクリスマスマーケットへのトラック攻撃という形をとり、12人が死亡した。なぜドイツなのか? アンゲラ・メルケル首相は、欧州の大部分が排外主義に傾いているこの時代に、難民保護の砦になってきた。
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シリア危機の発生後、トルコから国境を越えて欧州へ向かう難民が殺到するなか、ドイツは欧州大陸のほかのどの国よりも多くの難民を受け入れてきた。メルケルは、フランスの極右政党「国民戦線」党首マリーヌ・ルペンなどの右派指導者たちとは対照的に、寛容の精神を訴えてきた。だがそれは逆にドイツの極右勢力を勢いづかせ、メルケルは最近、人権擁護の姿勢を後退させている。顔を完全に覆うタイプのブルカの着用禁止を支持したうえ、難民に広く門戸を開いてきたこれまでの「開放政策」は今後とらないと約束した。当然ながら、それはイスラム過激派の怒りを買った。
1つの町がまっ平らに
だが、19日の混乱と死は、さらなる広がりを見せた。トルコでは、非番の警察官がロシアのアンドレイ・カルロフ駐トルコ大使を射殺した。容疑者は警官隊に射殺される前、「アレッポを忘れるな、シリアを忘れるな」と叫んだ。アレッポで多くの民間人を殺したロシアへの報復攻撃とも受け取れる。ドイツのトラック突入テロと同じく、ローンウルフ(一匹狼)による犯行か、ISIS(自称イスラム国)またはアルカイダの下部組織による犯行か不明のままだ。
【参考記事】トルコのロシア大使が射殺される。犯人は「アレッポを忘れるな」と叫ぶ
こうした攻撃は、すぐには終わらないだろう。だが、アレッポがロシアの空爆で徹底的に破壊され、まっ平らの駐車場さながらの姿にされてしまったこと、そしてその間世界のほとんどが沈黙していたことは心に留めるべきだ。そこで生きる人たちを見捨てたのは我々はなのだ。