最新記事

在日米軍

在日米軍、オスプレイ墜落事故で日本での飛行を当面停止

2016年12月14日(水)14時00分

12月14日、在日米軍は新型輸送機オスプレイ1機が13日夜に沖縄県沖に不時着したことを受け、同機の飛行を当面停止することを日本側に伝えた。写真は沖縄・普天間基地のオスプレイ(2016年 ロイター)

 在日米軍は新型輸送機オスプレイ1機が13日夜に沖縄県沖に不時着したことを受け、同機の飛行を当面停止することを日本側に伝えた。安倍晋三首相は14日午前、官邸で記者団に対し、「重大な事故を起こしたことは大変遺憾。米側には原因の徹底的な究明、安全の確保について強く要請している」と語った。

 ケネディ駐日米大使が14日午前、岸田文雄外相に飛行停止を電話で伝えた。その上でケネディ大使は、飛行再開については「日本政府と緊密な調整を経た上で行う」と述べた。

 米軍から防衛省への説明によると、事故を起こしたオスプレイは沖縄本島東方の沖合30キロの米軍訓練区域で空中給油を実施。給油機のホースが切れ、その後に何らかの不具合で飛行が不安定になったという。オスプレイは名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブへ向かったが、たどり着けないと判断し不時着した。

 ホースの切断後に不具合が発生した理由は不明。在日米軍のマルティネス司令官は14日昼ごろに稲田朋美防衛相と電話で会談し、「事故の原因がオスプレイの機体にある可能性は極めて低い」と述べた。

 不時着したオスプレイは大破している様子がみてとれるが、菅義偉官房長官は14日午前の会見で、「パイロットの意思で着水したと報告を受けている」と説明し、墜落ではなかったとの認識を示した。その上で、「原因が究明されたら、対応策をどうするかもしっかり求めていくことが大事だ」と語った。

 海上保安庁によると、今回事故を起こしたオスプレイは、13日夜に沖縄本島東の海上に不時着。同日午後9時50分ごろに米軍から海保に連絡が入った。乗員5人は米軍が救助し、うち2人が負傷した。

 垂直に離着陸する新型輸送機オスプレイは、2012年に米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)に配備。現在、日本国内では24機が運用されている。開発段階から事故が相次ぎ、沖縄県では配備に反対する声が広がった。今回の事故は、普天間基地の名護市辺野古沖への移設や、北部訓練区域の一部返還に伴う米軍ヘリパット建設をめぐる沖縄県と日本政府の対立に影響を与えそうだ。自衛隊も17機の導入を計画している。

 (久保信博 梅川崇 石田仁志 編集:山川薫)

[東京 14日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 6
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中