最新記事

AR

世界初の「顔認識ARアプリ」、英国から登場:プライバシーの懸念も

2016年12月8日(木)17時00分
高森郁哉

 拡張現実(AR)技術を手がける英新興企業ブリッパー(Blippar)が、スマートフォンなどのカメラで写した人物の顔をデータベースに照らし合わせて認識できる新アプリ「Augmented Reality Face Profiles」を開発した。同社によると、顔認識技術を搭載したモバイルアプリは「世界初」という。欧州版ニューズウィークなどが報じている

著名人7万人以上の顔をデータベースに登録

 報道によると、ブリッパーはこの顔認識アプリのために、著名人7万人以上の顔をデータベースに登録。モバイル機器のカメラで写す人物は、目の前にいる人でも、雑誌などの写真でも、ビデオでもいい。データベースに登録されている顔であれば、このアプリは認識したあと、ソーシャルメディアのプロフィールやウィペディアの項目などを画面に表示する。

 英BBCが取材したニュースの動画では、このアプリを使って、俳優マイケル・ファスベンダー氏や米政治家ヒラリー・クリントン氏の写真、ボリス・ジョンソン英外務大臣のネット動画をそれぞれ認識。さらに、BBCのリポーターの顔を直接写して認識する様子も収録している。

 ブリッパーの顔認識アプリでは、ユーザーが自分の顔とプロフィールをデータベースに登録することもできる。英メディアのデイリーメールによると、英国ではすでにiOS版とAndroid版が提供開始されているという。

顔認識技術とプライバシーの懸念

 ブリッパーは2011年にロンドンで設立された。社名を冠した「Blippar」アプリ(iOS版Android版)は、花や料理、衣料品など、さまざまなものをカメラで写して、被写体の情報(花ならその名前や育て方、料理なら作り方など)を提供するというもの。このアプリにはARと人工知能(AI)の技術が応用されているという。

 欧州版ニューズウィークは、ブリッパーの顔認識アプリではユーザーが第三者の顔を許可なく登録することも可能だとして、プライバシーの懸念を引き起こすかもしれないと指摘している。

 顔認識技術に関しては、グーグルがウェアラブルコンピュータ「グーグル・グラス」を2013年4月に開発者向けに販売開始したのち、6月、プライバシー侵害に対する懸念に配慮して同製品での顔認識技術の利用を当面禁止すると発表した。同社は2015年1月、グーグル・グラスの一般消費者向けの販売を中止している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中