最新記事

日露関係

安倍・プーチン会談、15日は領土問題を協議 午後山口県に出迎え

2016年12月15日(木)11時55分

12月15日、安倍晋三首相は、ロシアのプーチン大統領を地元の山口県長門市に迎えて会談する。個人的な信頼関係を築いたと自負する安倍首相は、経済協力をテコに領土問題を動かし、悲願の平和条約締結に道筋をつけたい考え。写真は長門市で14日撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

 安倍晋三首相は15日、ロシアのプーチン大統領を地元の山口県長門市に迎えて会談する。個人的な信頼関係を築いたと自負する安倍首相は、経済協力をテコに領土問題を動かし、悲願の平和条約締結に道筋をつけたい考え。一方、プーチン大統領は日本の対ロ経済制裁が両国の信頼関係を損なっているなどと主張。両者の認識にずれが見られる中、2日間の会談でどこまで交渉が前進するか見通しにくい状況だ。

 首相だった2009年以来の訪日となるプーチン大統領は、15日午後に専用機で山口県入りする。初日の会談は山間の老舗温泉旅館で行われ、両首脳は周囲に紅葉も残る自然豊かな環境のなかで、領土問題を中心に協議する。

 政府関係者によると、通訳のみを交えた1対1の協議も行われる見通しだ。

 両首脳は平和条約締結を目指す考えでは一致しているものの、前提となる領土問題では溝が深い。安倍首相は経済協力を呼び水に交渉を前進させようとしているが、プーチン大統領は訪日前に読売新聞などとのインタビューに応じ「(日本は)ロシアへの制裁に加わった」と批判。「制裁を受けたまま、どうやって経済関係を新しいより高いレベルに発展させるのか」と語った。

 また、日本が「北方4島の帰属問題を解決し、平和条約を締結するという基本路線に変わりはない」(菅義偉官房長官)のに対し、プーチン大統領は1956年の日ソ共同宣言が条約締結に向けた基礎との認識を示した上で、日本の主張は歯舞諸島と色丹島の引き渡しを明記した共同宣言の「枠を超える」と強調した。

 日ロの共同経済活動についても、ロシアの主権下で行う考えを示しており、日本側の主張とは相容れない。ウシャコフ補佐官は13日の記者会見で「(日ロ間の問題解決は)非常に長い手続きとなり、信頼構築のため慎重な作業が求められると確信している」と語り、今回の会談で大きな進展はないとの認識を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中