「頭のいい」指導部のせいで、米民主党はすべてを失った
手慣れた戦いで、選挙広告の作り手は才人ぞろい、ハリウッドのトップスターも味方に付けているし、史上最高の選挙分析チームを抱えている、とも。だから最強だって? 冗談だろう。史上最高のチームが、全国大会後にウィンスコンシン州に遊説に行くべきだという提案すらしなかったのだ。1回の遊説で戦況が変わるわけではないが、相手の支持基盤であるラストベルトを切り崩す努力は必要だった。
共和党は空中分解しつつあるというメディアの分析も的外れだった。筆者の分析も例外ではない。クリントン勝利に備えて事前に書いた原稿では既存の政治システムが崩壊しつつあるなかで民主・共和とも存亡の危機に瀕しているが、共和党に少し分があるかもしれないと論じていた。少しどころか、彼らは今や怖いものなしだ。ドナルド・トランプが彼らにミッションを与えた。この国は彼らのものだ。
【参考記事】トランプの首席戦略官バノンは右翼の女性差別主義者
崩壊寸前の民主党を受け継ぐ新指導部は今までよりも広い層にアピールする方法を見いだす必要がある。人口動態からみて共和党は早晩落ち目になるだろうが、今回の選挙でそれはまだ先の話だと分かった。民主党は反人種差別・反性差別の旗印を捨てずに、より広く白人層の支持を取り付けねばならない。
居座り続ける少数の民主党幹部はバーニー・サンダースの支持者が投票所に行かなかったせいだのFBI長官が悪いだのと犯人探しをするだろう。一方で、共和党は図に乗って墓穴を掘るだろうから、まだ希望は持てるなどと言う幹部もいるはずだ。
そんな寝言を真に受けてはいけない。何一つ明るい材料はない。全面的な敗北――これが目下の現実だ。
© 2016, Slate
[2016年11月22日号掲載]