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PKO南スーダンの陸自部隊に駆け付け警護任務、安保法制で任務拡大
11月15日、日本政府は、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たる陸上自衛隊の部隊に、「駆け付け警護」などの新任務を付与することを閣議決定した。南スーダン・アビエイで2013年撮影(2016年 ロイター/Goran Tomasevic)
政府は15日午前の閣議で、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たる陸上自衛隊の部隊に、「駆け付け警護」などの新任務を付与することを決定した。今年3月に安全保障法制が施行され、日本は集団的自衛権の行使などが可能になったが、新しい任務を実際に自衛隊へ付与するのはこれが初めて。
20日から交代要員として南スーダンへ順次向かう第11次隊に付与する。これまでPKOに参加した自衛隊の隊員は、自身または自身の保護下にある国連職員などを守る場合のみ武器の使用が許された。安保法制のもとでは武器の使用基準が緩和され、国連職員などが遠隔地で武装勢力や暴徒に襲われた場合も、救援に赴くことができる。
救援対象に限定はないものの、政府の念頭にあるのは国際機関やNGOで働く日本人。法律上は他国軍隊の救助に駆け付けることも可能だが、「想定されない場合の方が多い」(稲田朋美防衛相)としている。武器を所持する他国軍隊が対処できない事態に、施設の造成を主任務とする自衛隊が救援に向かうことは考えにくいという。
駆け付け警護を実施する地域も、自衛隊が活動している首都ジュバとその周辺に限定する。新たに付与する任務には、宿営地を他国部隊と共同で守ることも含まれる。
2011年に独立した南スーダンは、13年に大統領派と前副大統領派の間で武力衝突が発生。15年8月に和平に合意したが、今年7月に再び大規模な戦闘が起きた。その後も治安は不安定だが、日本政府は自衛隊をPKOに派遣する要件である「PKO5原則は維持されている」との見解を示している。
新任務の付与に伴い変更するPKO実施計画には、5原則が維持されていたとしても、活動困難と判断すれば部隊を撤収するとの内容も盛り込んだ。
(久保信博)