最新記事

PKO

南スーダンの陸自部隊に駆け付け警護任務、安保法制で任務拡大

2016年11月15日(火)11時27分

 11月15日、日本政府は、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たる陸上自衛隊の部隊に、「駆け付け警護」などの新任務を付与することを閣議決定した。南スーダン・アビエイで2013年撮影(2016年 ロイター/Goran Tomasevic)

政府は15日午前の閣議で、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に当たる陸上自衛隊の部隊に、「駆け付け警護」などの新任務を付与することを決定した。今年3月に安全保障法制が施行され、日本は集団的自衛権の行使などが可能になったが、新しい任務を実際に自衛隊へ付与するのはこれが初めて。

20日から交代要員として南スーダンへ順次向かう第11次隊に付与する。これまでPKOに参加した自衛隊の隊員は、自身または自身の保護下にある国連職員などを守る場合のみ武器の使用が許された。安保法制のもとでは武器の使用基準が緩和され、国連職員などが遠隔地で武装勢力や暴徒に襲われた場合も、救援に赴くことができる。

救援対象に限定はないものの、政府の念頭にあるのは国際機関やNGOで働く日本人。法律上は他国軍隊の救助に駆け付けることも可能だが、「想定されない場合の方が多い」(稲田朋美防衛相)としている。武器を所持する他国軍隊が対処できない事態に、施設の造成を主任務とする自衛隊が救援に向かうことは考えにくいという。

駆け付け警護を実施する地域も、自衛隊が活動している首都ジュバとその周辺に限定する。新たに付与する任務には、宿営地を他国部隊と共同で守ることも含まれる。

2011年に独立した南スーダンは、13年に大統領派と前副大統領派の間で武力衝突が発生。15年8月に和平に合意したが、今年7月に再び大規模な戦闘が起きた。その後も治安は不安定だが、日本政府は自衛隊をPKOに派遣する要件である「PKO5原則は維持されている」との見解を示している。

新任務の付与に伴い変更するPKO実施計画には、5原則が維持されていたとしても、活動困難と判断すれば部隊を撤収するとの内容も盛り込んだ。

(久保信博)



[東京 15日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、米中緊張緩和への期待で安心

ビジネス

米経済活動は横ばい、関税巡り不確実性広がる=地区連

ワールド

ウクライナ大統領のクリミア固執発言、和平交渉の障害

ワールド

米中関税の相互的な引き下げ必要、進展に緊張緩和不可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 6
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 7
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    ウクライナ停戦交渉で欧州諸国が「譲れぬ一線」をア…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中