トランプ勝利で日本はどうなる? 経済は不確実性と円高圧力増大
こうした点は日本企業にとっては大きな不安材料となっている。10月ロイター企業調査の結果をみると、主要400社にトランプ氏が米国大統領となった場合の展開を聞いたところ、対米貿易環境が「悪化する」との回答が57%、対米投資意欲は63%が弱まると回答した。
具体的には「米政権運営、特に議会対策で難航が予想され、結局のところ、何事も決まらない状況が生まれるのではないか」(ゴム)といった不確実性や、「安保、円高、輸入関税、対日本への圧力は高まる」(金属製品・一般機械)といった懸念が提起されていた。
また、日米の安全保障関係は84%が弱まると答えた。各企業からは「米国の日本防衛義務を希薄化させる動きを見せれば、西太平洋での覇権をもくろむ中国がその力の空白域に軍事作戦を展開することが十分予想される。東アジアでの地政学的リスクは格段に高まり、日中関係は極度に緊張が高まって、日本経済に極めて悪い影響をもたらすことを懸念している」(電気機器)といった声もある。
その一方で「保護主義的な政策で貿易面での悪影響が考えられるが、米国で稼ぐ日本企業は、輸出で稼ぐというよりは現地に進出して利益を出しているところが多い。悪影響は比較的限定的だろう」(第一生命経済研究所・経済調査部主任エコノミストの藤代宏一氏)との見方もある。
TPP合意は破棄へ、世界経済の不確実性高まる
環太平洋連携協定(TPP)については、トランプ氏は選挙戦で破棄を明言してきた。大統領に就任次第、その方向で対応するとみられている。