最新記事

日比関係

来週フィリピンのドゥテルテ大統領来日 安倍首相は信頼関係築けるか

2016年10月21日(金)18時37分

 しかし、今年6月末に誕生したドゥテルテ政権は、米国との連携を強めたアキノ前大統領の外交方針転換を示唆。今月20日、東南アジア諸国連合(ASEAN)域外の初の外遊先として訪れた中国では「軍事的にも経済的にも米国と決別する」と述べた。関係者によると、この発言に日本の外務省では衝撃が走ったという。

「中国は南シナ海への主張をさらに強める可能性がある。東シナ海でも同様のことが予想され、日本にとっては頭が痛いだろう」と、調査会社IHSマークイットで東アジア情勢を分析するアリソン・エヴァンス氏は語る。「半年前よりも日本の懸念は深まった」と同氏は指摘する。

南シナ海問題をはじめ戦略的パートナーシップ強化を謳う?

 ドゥテルテ大統領は、25日から27日まで日本を訪問する。滞在中、日本側はフィリピンの海洋監視能力の向上支援をあらためて表明する見通し。両国政府の関係者によると、日本が9月に発表した大型巡視船の供与について署名する。フィリピンの農業支援や、ミンダナオ島の反政府勢力を取り締まるための小型船供与についても合意する可能性がある。

 すでに貸与で合意している海上自衛隊の航空機TC-90については、リース価格など詳細な条件を決める方向で調整している。日本は同機を通じて両国の防衛協力を深めたい考えで、11月にはフィリピン軍のパイロット2人を徳島県の海上自衛隊基地で訓練する予定だ。

 大統領は日本の民間企業との会合も計画しており、現地に工場を持つトヨタ自動車 <7203.T>や三菱自動車工業 <7211.T>などに投資拡大を呼びかける考え。最終日には天皇陛下に面会する。

 菅義偉官房長官は21日の定例会見で「この機会をとらえて戦略的パートナーシップの一層の進展に向けて、しっかり取り組んでいきたい」と発言。フィリピン政府の報道官は大統領の訪日を前に「日本との活気ある関係を高く評価している」とコメントした。

 (久保信博、ティム・ケリー 取材協力 リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)



[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏

ワールド

米、クリミアのロシア領認定の用意 ウクライナ和平で

ワールド

トランプ氏、ウクライナ和平仲介撤退の可能性明言 進

ビジネス

トランプ氏が解任「検討中」とNEC委員長、強まるF
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 3
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 6
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 7
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 8
    今のアメリカは「文革期の中国」と同じ...中国人すら…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ関税 90日後の世界──不透明な中でも見えてき…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 5
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 6
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中