「父が逝った」最愛の国王失ったタイ国民の悲しみと不安
10月14日、タイの国民は、過去70年で初めて、長年にわたる政変と混乱のなかで国を導く父として崇拝されていたプミポン国王のいない朝を迎えた。写真は同国王を追悼するため、列に並ぶタイ国民。バンコクで撮影(2016年 ロイター/Athit Perawongmetha)
タイの国民は14日、過去70年で初めて、長年にわたる政変と混乱のなかで国を導く父として崇拝されていたプミポン国王のいない朝を迎えた。
現役の国家元首として在位期間が世界最長であったプミポン国王は13日、首都バンコクの病院で死去した。88歳だった。
国王は数年前から体調を崩していたが、死去の知らせは人口6700万人のタイに衝撃を与え、国全体が悲しみに包まれている。
息子のワチラロンコン皇太子が王位を継承する見通しだが、父親のプミポン国王が在位中に生涯にわたって得たほどの敬愛を集めてはいない。
タイでは、過去10年間でクーデター2回と大勢の犠牲者を出したデモが発生し、軍事政権と大衆主義政治勢力との対立がくすぶる一方、最近では爆破攻撃が相次ぎ、経済的懸念にも直面している。
プミポン国王は在位中、幾度となく間に割って入り、危機を鎮めようとした。同国王のいない未来を、多くのタイ国民は憂いている。軍は長年、政治介入を正当化するため、君主制を守る義務を援用してきた。