トランプにここまで粘られるアメリカはバカの連合国
呆然とするほどアメリカ人から知識が失われた結果、一体何が起きているのだろうか。最も顕著な現象といえば、共和党大統領候補でファシストのトランプと、民主党候補指名をクリントンと争った自称社会主義者バーニー・サンダースが、絵空事でしかない政策を掲げながらも、有権者の心を捉えたことだ。
【参考記事】サンダースを熱狂的に支持する若者たちは、民主主義を信じていない
外交政策では、両者とも孤立主義を説いている。それは、過去にアメリカが内に閉じこもったときに、アメリカと世界が被った苦痛を知らないからだろう。また両者は、自由貿易にも背を向ける。しかし大半の経済学者たちは、自由貿易が有益だという点で一致している。
トランプはさらに踏み込んで、ISIS(自称イスラム国、別ISIL)を滅ぼし、テロリズムを終結させ、失われた製造業の雇用を取り戻し、メキシコのお金で国境に壁を築いて違法入国を阻止し、1100万人の不法移民を国外退去させ、貿易赤字に終止符を打ち、アメリカにあるすべての街路の治安を維持し、ほかにも多くの奇跡を実現できると約束した。彼がこれらの公約を果たすための手段や財源を具体的に示すことができなくても、選挙運動の障害にさえならなかった。
トンデモ公約を鵜呑みに
驚くほど多くの人々が、トランプが掲げる大げさで信じ難い公約を鵜呑みにしている。
そのトランプも、第3の党であるリバタリアン党の大統領候補、ゲーリー・ジョンソンと比較すればまだましに見える。ジョンソンは、シリア北部の都市アレッポを知らなかったし、テレビのインタビューでは自身が敬愛する世界の指導者を1人も挙げることができなかった。無知であることは強みだとさえ豪語している。
ジョンソンは現在、ミレニアル世代のかなりの支持を獲得している。こうした世代の有権者の多くは、彼らがクリントンではなくジョンソンに投票することによって、間接的にトランプを大統領にしてしまいかねない危険性に気づいていない。
(注:トランプの支持層は高卒以下の白人で、大学生や大卒者は含まれていない。したがって、トランプ支持者はおそらく、ジョンソンへ投票すると思われるこの大学生よりもさらに知識に乏しいだろう。)
11月8日に何が起ころうとも、現在の状況は、公民教育を緊急に再生しなければならないことを物語っている。現在および将来の有権者が、行政や歴史、地理、国際情勢、経済などに関する基本的な知識を獲得し、十分な情報に基づいて選択できるよう教育を施さなければならない。