国際刑事裁判所(ICC)を脱退するアフリカの戦犯たち
ケニア
バシル以外の大物では、ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領とウィリアム・ルト副大統領がいる。ICCは2010年にケニヤッタ(当時副首相)とルト(当時高等教育相)を含む6人の有力なケニア人を召喚した。2007年12月の大統領選挙の結果をめぐって起こった暴動に乗じて、人道に対する罪を犯した容疑だ。人種間の衝突で、選挙後2カ月の間に1200人以上のケニア人が殺された。
だがICCの検察官は2014年12月にケニヤッタに対する起訴を取り下げた。ケニア政府が重要な証拠の提出を拒んだという。4月にはルトに対する起訴も取り下げられた。それでもケニア人はICCに憎悪を抱いている。ケニアは1月、AU(アフリカ連合)の首脳会議で「アフリカ諸国のICC脱退のための行程表」を作ることを提案し、広い支持を集めた。
ウガンダ
アフリカでも最高齢の指導者であるヨウェリ・ムセベニ大統領は早くからICC脱退を訴えていた。1980年から権力の座にある72歳のケニヤッタは、ICCは欧米がアフリカを狙い撃ちするための道具だと言う。ムセベニは脱退提案を出すことを約束。2014年12月には「そうすればICCは孤立する」と語った。実際、アフリカ諸国が大挙して脱退すればICCは権威は地に堕ちる。ローマ法加盟124カ国のうち34カ国はアフリカで最大勢力だ。
ムセベニはまだ脱退提起に成功していないが、5月の5期目の大統領就任式でICCを「役立たず」と呼んで西側の外交官たちを怒らせた。EUやアメリカ、カナダの政府関係者は就任式を途中退場した。