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メディア米AT&T、メディア大手タイム・ワーナーを854億ドルで買収合意
10月22日、米通信大手AT&T(写真)は22日、メディア大手タイム・ワーナー
米通信大手AT&T
タイム・ワーナー株1株に対し、107.50ドルを支払う。半分は現金、半分は株式での取引になる。独禁当局の審査を経て、2017年末までの買収完了を目指すという。AT&Tによると、米司法省が今後、買収を審査する見通し。
米上院司法委員会のメンバー、リチャード・ブルメンサル議員など一部議員からは、AT&Tによる買収案の精査を求める声が既に上がっている。
上院の反トラスト小委員会のマイク・リー委員長は23日、年内にAT&Tの買収計画について公聴会を行うことを明らかにした。
また、米大統領選挙の共和党候補ドナルド・トランプ氏は選挙集会で、AT&Tによるタイム・ワーナー買収について、当選した場合、承認しない考えを明らかにした。
AT&Tは主力の携帯電話・通信事業の伸びが鈍化する兆しを見せる中、事業の多角化を図ってきた。昨年は米衛星テレビ放送大手ディレクTVを485億ドルで買収した。
AT&Tのランダル・スティーブンソン最高経営責任者(CEO)とジェフ・ビューケスCEOによる協議は8月に始まった。スティーブンソン氏は「2社が合併すれば、技術革新をさらに加速できるという認識を共有した」と述べた。
スティーブンソン氏はまた、「競合相手を市場から締め出すことにはつながらない。合併で競争上、悪影響を及ぼすことはない」と指摘。「規制当局の懸念は、調整すれば十分解消できると信じている」と述べた。
関係筋によると、別の買い手が現れた場合、タイム・ワーナーはAT&Tに17億2500万ドルを支払う義務を負う。当局が買収を阻止した場合、AT&Tはタイム・ワーナーに5億ドルを支払う必要がある。
AT&Tによると、買収の現金の部分は手元資金と新たな債務でまかなう。期間18カ月、400億ドルの無担保つなぎ融資のコミットメントを得ているという。
AT&Tの手元資金は72億ドル。ムーディーズによると、6月末時点の負債は1200億ドルとなっており、一段の借り入れは信用格付けに影響する可能性がある。
AT&Tは同時に第3・四半期決算も前倒して発表。調整後の1株利益は前年同期並みの0.74ドルとなり、アナリスト予想ともほぼ一致した。四半期配当は1株当たり0.01ドル増額し0.49ドルとした。