最新記事

英EU離脱

イギリス最大野党が大企業と対決姿勢、労働者階級の支持取り戻す狙い

2016年9月27日(火)10時12分

9月26日、英労働党が左派的な経済政策を打ち出した。写真はコービン党首。リバプールで25日撮影(2016年 ロイター/Peter Nicholls)

 英国の最大野党である労働党は26日、苦戦している産業分野を支援するための基金創設で1000億ポンド(1300億ドル)の資金を借り入れる方針を明らかにするとともに、規制強化など左派的な経済政策を打ち出した。

 大企業との対決姿勢を鮮明にすることで、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定の中心となった労働者階級の支持を取り戻したい考えだ。

 政治的なエスタブリッシュメントを拒絶しブレグジット支持に回った有権者は、昨年の選挙で労働党を見放した。リバプールで開かれている労働党の党大会は、来年に総選挙が実施されることを想定。こうした有権者の支持を取り戻すための政策が打ち出された。

 24日の党大会で、これまで以上の支持を受けて再選されたコービン党首は、労働党をより左寄りの方向に導く考えだ。このことは、労働党を1997年から2010年にかけて政権の座につけたビジネス界に近い中道路線から離れることを意味する。

 労働党の「影の内閣」で財務相を務めるマクドネル議員は、最低賃金の引き上げるとしたほか、株主利益の実現のために企業が過剰な債務を負うことを防ぐよう会社法を改正すると主張。税逃れの撲滅のための努力も再び強化すると述べた。

 マクドネル氏は党大会で「われわれは労働者に恩恵が行くように、税や投資について、そして、経済的な制度のあり方についてルールを書き換える」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏のロシア産原油関税警告、市場の反応は限定

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、突っ込み警戒感生じ幅広く

ワールド

イスラエルが人質解放・停戦延長を提案、ガザ南部で本

ワールド

米、国際水域で深海採掘へ大統領令検討か 国連迂回で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中