人道支援トラックに空爆、シリア和平の希望が潰える
空爆はロシア軍機が行ったとの見方
今のところ、誰も空爆への関与を認めていない。しかし、シリア政権軍とシリアを支援するロシア空軍は以前にこの地区を空爆したことがあり、アメリカが支援する反体制派はこの地区で活動してきた。イギリスに拠点を置くシリア人権監視団は、シリア・ロシアの両政府を非難している。
アメリカも同様で、国務省のジョン・カービー報道官は「トラックの目的地をシリア政府もロシア政府も知っていた。そして、シリア市民に物資を届けようとしていた支援団体の職員たちが殺された」と述べる。
BBCによれば、シリア空軍が実行するには複雑な攻撃で、実際に空爆を行ったのはロシア軍機2機だったと米政府筋は考えている。一方でロシア国防省は、関与を否定し、空爆ではなく地上からの攻撃だったとの見方を示しているという。
国連は支援を停止
国連緊急援助調整官のスティーブン・オブライエンは、もし故意に人道支援の車列を狙ったのなら戦争犯罪にあたる可能性があると述べ、国連シリア担当特使のスタッファン・デミストゥラも「孤立した市民を救うため、長い時間をかけて準備し、許可を得て運んでいた支援物資だった」と、攻撃を強く非難した。
20日、国連は「緊急対策として」シリアでの支援活動を一旦すべて停止。「世界の人道支援にとって、非常に陰鬱な一日となった」と、国連人道問題調整事務所(OCHA)のイェンス・レルケ報道官は述べた。
シリア・ロシアの両政府は、反体制派が停戦期間中に合意を破り、数々の攻撃を仕掛けてきたと言う。17日にはアメリカ主導の有志連合による空爆がシリア兵を多数殺害したと非難。米政府は17日の件は事故で、ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)の戦闘員と誤認したとしている。
7日間の停戦はシリアの和平にとって何の意味もない期間だったのだろうか。