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G20、日中関係は?――日露首脳会談で日本に有利?

2016年9月5日(月)06時30分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 いつもは日本のことをできるだけ矮小化して報道するか無視する中央テレビCCTVが、なんと、安倍首相が日本政府の専用機で杭州に到着した瞬間を、他の国の首相と同等、あるいは心なしか長めに報道したのである。

 4日午前、最初に着いたのはイギリスのメイ首相で、中英関係は黄金時代にあると解説し、次にドイツのメルケル首相の到着を紹介。2017年の議長国として重要だと開設した。

 三番目に紹介されたのが安倍首相の到着だ。

 政府専用機についている日の丸も映しながら、安倍首相の到着を次のように紹介した。

 ――日本経済はいま、大変な状況にある。だから安倍首相にとっても、このG20は非常に重要なのだ。8月に日本で開かれた日中韓外相会談においても、安倍首相がわざわざ王毅外相に会い、G20への出席を約束し、かつG20の成功を祈っていると、王毅外相に告げている。

 こんな具合で、花束を受け取る安倍首脳の笑顔もしっかり映し、かなりの時間をかけて報道したのである。

 これはすなわち、これまでのような非礼な面談をするのは、できるだけ避けるという表れでもあろうと見受けられた。

 また一方では、今般のG20のテーマは、あくまでも「経済だ」とする中国の主張を全面に押し出したい中国の思惑もあることがうかがわれる。

オバマ大統領がやや押され気味だった米中会談

 3日午後、杭州に到着したオバマ大統領は、その夜、習近平国家主席と米中首脳会談に臨んだが、全体を通してオバマ大統領がやや押され気味というムードを感じた。

 本来なら南シナ海問題に関して、ハーグの仲裁裁判所の判決を重視せよと習主席ににじり寄るはずだったオバマ大統領は、のっけからパリ協定批准で先手を取った中国側の線上に乗せられ、潘基文(バン・キムン)国連事務総長同席のもと、批准書を潘基文に渡す儀式に出席した。

 オバマ大統領は時差のために眠いのか、浮かない笑みを浮かべながら3人で握手。

 夜に行われた米中首脳会談では、やはり時差から抜け出してないような浮かない顔で、習主席が勢いよく畳みかけてくる「一つの中国」「台湾独立を認めない」「南シナ海問題は中国の主権の問題で、関係国以外の他の国が口出しすべきではない」「人権問題を口実に寧性干渉をすべきではない」「中国は朝鮮半島にTHAAD(高高度防衛ミサイル)を配備することには絶対に反対だ」......などを聞いていた。

 その後、オバマ大統領がどのように反論したのかは、中国メディアでは伝えていない。

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