最新記事

白モノ家電コンシェルジュ

「無限度」(=360度以上)で首を振る、優雅な扇風機

2016年9月7日(水)06時22分
神原サリー ※Pen Onlineより転載

新潟県燕市の優れた技術によって磨かれたステンレスタイプ。¥86,400 ※通常のホワイトモデルは¥54,000


マインツ ピルエット
MAINTS PIROUETTE〈扇風機〉

 マインツはどこから見ても美しいデザインと、人と人とが繋がる技術に基づいた「MultiAngleInterfaceTechnologies」という思想から生まれた新ブランド。その記念すべき第1弾として発表されたのが、全方位シームレスに風が送れる扇風機「ピルエット」だ。扇風機はいつも部屋の隅にあって、その風を欲する人に向かって羽根を回し、風を送ってきた。けれど、このピルエットはリビングの中央に立ち、ぐるりと360度以上、つまり無限に回転して、思い思いに寛ぐ人たちすべてに優しい風を届けるのだという。設置面積を極力抑え、羽根を覆うカバーを薄くしたミニマルな形。扇風機の首の部分が回るのではなく、支柱が回るからこそ可能な"無限度"の回転。その姿は片足でつま先立ちし、こまのように旋回する様子を示すバレエ用語"ピルエット"そのもののように優雅だ。真ん中が空洞になった羽根の構造で風を面で押し出すため、DCモーターとの組み合わせによって自然界にあるのと同じような心地よい風をつくり出す。 

(参考記事:なだらかなシェイプが生む、優しく美しい風。

 操作は厚みのある台座に備えられたダブルセンサーリングで行う。シリコンで覆われた感圧式のセンサー部に指で触れることで、内側のリングでは風の量を、外側のリングでは風の吹く向きをコントロールできる仕組みだ。ユニークなのは、設定していない範囲では倍速で旋回し、スキップする運転ができること。指でなぞるように触れると、透明感のある紅掛空色にLEDランプが光り、目にも涼しい二重のリングが浮かび上がる。照明器具よりもはるかに多いLEDを使っているというだけあって、かすかに紫がかったブルーの色が本当に美しい。 

(参考記事:静寂の寝室に投影される、100万の星々。

 同じ方向に回転し続けても支柱の中でコードが絡んでしまわないように、特殊な小型部品を中に仕込んだり、軸をなめらかに回すために工夫されたボールベアリングを採用したりするなど、マインツが目指す新しい発想の動きやデザインを具現化している。また、重厚感のある台座部分には新潟県燕市の職人たちが手作業で行う、磨きや絞りなどの優れた金属加工技術が随所に活かされており、その質感や樽の形に"メイドイン燕"の誇らしさがあふれている。 

(参考記事:タンスの裏にもするりと潜りこむ、華麗なる掃除機。

 みながひとつに集うのではなく、同じ空間にいながらもそれぞれが個々に過ごす、現代の暮らしのスタイルに寄り添うピルエット。全方向に送られる静かで優しい微風は室内に気流をつくり出し、窓を開けていなくとも空気がかすかに動いて、自然の安らぎを生み出すことができるのが魅力だ。扇風機は夏に使うものだという常識を超え、春や秋にも活躍できる、まさにシームレスな1台なのだと思う。

pen160907-2.jpg

タッチ操作で、風の強弱や首を振る範囲を設定できる。青く光っている部分がそのまま首を振る範囲になる。

※Pen本誌より転載

[concierge]
神原サリー Sally Kamihara
新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立し、豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信。2015年2月、表参道に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。

※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。
Penonline_logo200.jpg



今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:またトランプ氏を過小評価、米世論調査の解

ワールド

アングル:南米の環境保護、アマゾンに集中 砂漠や草

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 10
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中