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医療技術人体に無害の「食べられる電池」
Bettinger Lab
米カーネギー・メロン大学の研究チームが、「食べられる電池」を開発した。人体に無害の素材で作られ、将来的には体内の特定部位での投薬を補助したり、センサーを駆動するといった用途が考えられるという。
アメリカ化学会(ACS)の全国大会で8月23日、研究成果が発表され、米ニューズウィークなどが報じている。
第2世代の「ハイテク錠剤」
チームを率いるのは、カーネギー大で材料科学と生物医学工学を専門とする准教授のクリストファー・ベッティンガー氏。「診断や疾病治療のために、"食べられる電子機器"を実現することは、何十年も前から構想されてきた」と同氏は語る。
約20年前、カプセル内視鏡が開発され、すでに実用化されている。ただし、このカプセルは人体に有害な物質を含む。自然排出されることを想定しているが、消化管の途中にとどまった場合、手術で摘出する必要がある。
食べられる電子機器の第1世代をカプセル内視鏡とするなら、カーネギー大のカプセル電池は第2世代となる。人体に無害な電池にするため、主要成分には、毛髪や皮膚などにも含まれるメラニンを採用。メラニンは、イオンを結合したり、分離したりする性質を備える。
陽極と陰極のいずれか一方の役割をイオンが担い、残りの極にはマグネシウムなどのミネラル(無機質)を配置する。ミネラルも体内に含まれる物質だ。
これらの物質をまとめておくために、でんぷんなどの炭水化物が添加される。
体内の液体に触れると作動
飲み込まれたカプセル電池が体内の液体に接触すると、回路がつながり、電池がオンの状態になる。供給する電力は約0.5ボルトで、単三乾電池(1.5ボルト)の3分の1に相当する。
カプセルのサイズは、長さが最大1.3センチ、幅が2ミリほど。この大きさで、約20時間の電力供給が可能だ。排出されずに体内にとどまった場合でも、数週間程度で分解されるという。
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期待される用途
食べられる電池は将来、さまざまなデバイスの電源として応用されることが期待されている。有望なのは、体内で最も効果的に吸収される部位まで薬物を運び、そこで投薬するようなデバイスだ。
ほかに、消化系の異なる部位に存在するバクテリアを判別するセンサーと組み合わせることも考えられるという。肥満、糖尿病、炎症性腸疾患の診断や治療に役立つ可能性がある。