リオ五輪閉幕、ブラジルを待ち構える厳しい現実
8月22日、リオデジャネイロ五輪が幕を閉じるとともに、ブラジル国民に厳しい現実が舞い戻ってきた。写真はリオデジャネイロのオリンピック公園前で昼食をとる作業員たち。22日撮影(2016年 ロイター/Bruno Kelly)
リオデジャネイロ五輪が幕を閉じるとともに、ブラジル国民に厳しい現実が舞い戻ってきた。ルセフ大統領の弾劾裁判から深刻な景気後退に至るまで、問題は山積している。
ブラジル国民にとって、五輪は地平線の彼方に輝く一筋の光明だった。
「われわれが直面する厳しい現実を覆い隠してくれるものは、もう何も残っていない。最近まで多くの人々が抱いていた壮大な思いが支えを失った」と語るのは、哲学者で作家のロベルト・ロマーノ氏だ。
ブラジルが主催した2014年のサッカーワールドカップと今年の五輪は、同国が国際舞台に立つ好機となるはずだった。
ところが、まるで大会を合図にしたようにブラジル経済と左派政権はほころびを露呈している。五輪自体は、数々の不備はありつつも試合や警備は円滑に進み、概ね期待通りの成果を収めた。
さあ、どうしよう
五輪が終わった今、ブラジル国民は「さあ、どうしよう」と自問している。
フィットネスのインストラクター、フラビオ・マトスさん(37)は「オリンピックは楽しかったけど、余興だ。これからは本当に解決すべき問題が待ち受けている」と話す。
第一に、議会上院では今週、ルセフ大統領の弾劾裁判が始まる。ルセフ氏はかつてルラ前大統領と並び、経済を好況に導いた功績で労働階級の支持を得ていたが、今では汚職事件の捜査を妨害しようとした疑いで2人そろって捜査を受けている。
世界金融危機にあえぐ先進国から羨望の眼差しを浴びていたブラジル経済は、今や大恐慌以来で最悪の景気後退に苦しんでいる。一部の経済指標からは、弱々しいながらも回復の始まりがうかがえるが、11%を超えた失業率など、他の指標は相変わらず厳しい現実を伝えている。