最新記事

エンターテインメント

マンガの次はポケモンGO、それでも遠いコンテンツ大国の道

2016年8月5日(金)19時18分

8月5日、「ポケモンGO」の世界的ブームで日本勢のコンテンツビジネスに注目が集まったが、トップの米国に大きく水を空けられており、「知的財産権大国」への道は遠い。2013年、ブリュッセルで開かれたジャパンEXPOで、アニメキャラクターに扮したファン(2016年 ロイター/Francois Lenoir)

 「ポケモンGO」の世界的ブームで日本勢のコンテンツビジネスに注目が集まったが、トップの米国に大きく水を空けられている。産業技術を含めた知的財産権収益は、米国に次ぐ世界2位とはいうものの、実態は企業の親子間取引が多数を占め、「知的財産権大国」への道は遠い。

 企業意識の転換や公的統計の早急な整備など、大きな変革が求められている。

出遅れるコンテンツ販売

 毎年10月に東京・お台場で開催される「国際コンテンツ見本市」。映画やテレビ番組、音楽、アニメ等の主要コンテンツを世界へアピールし、海外展開を促進するため、経済産業省やコンテンツ産業にかかわる団体が主催している。2015年は内外から347団体が出展、商談件数は前年比17%増となった。

 A.T.カーニーの分析によると、世界市場における日本のマンガ売上高シェアは24%、ゲームコンテンツは20%弱を占め、人気を博している。

 しかし、映画や音楽、キャクラター物販も含めたコンテンツ市場全体でみると、5500億ドルのうち、日本のシェアは2.5%、138億ドルに過ぎない。

 このうちテレビ番組や映画、DVDなど「放送コンテンツ」をみると、2013年に米国は183億ドルを稼ぎ、次いで英国の44億ドルと続くが、日本はわずか2億ドルに過ぎない(情報通信研究所の調査結果)。

 この現状について、経済産業省の商務情報政策局では、国内のコンテンツ関連企業が海外への売り込みに関心が低かったことが関係しているとみている。

 同局の関係者は「日本国内のコンテンツ市場が大きいため、これまではコンテンツ業界の海外展開への意識が低かった。アジアでは文化規制や表現規制、自国コンテンツの優先主義などもあり、市場拡大が遅れた面もある」と指摘する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独メルセデス、安価モデルの米市場撤退検討との報道を

ワールド

タイ、米関税で最大80億ドルの損失も=政府高官

ビジネス

午前の東京株式市場は小幅続伸、トランプ関税警戒し不

ワールド

ウィスコンシン州判事選、リベラル派が勝利 トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中