マンガの次はポケモンGO、それでも遠いコンテンツ大国の道
そこで政府は財政投融資を活用し、ファンドを設立。今年4月時点で同ファンドの出資金は523億円にのぼり、コンテンツの現地語訳やプロモーション活動の支援などを行っている。
これまでに世界22カ国に日本コンテンツの有料放送チャンネルを展開し、地域物販やインバウンド促進を狙って15年3月にスカパーJSATに約44億円を出資、14年10月にバンダイナムコHD<7832.T>等に約10億円を上限に出資するなど、合計17件の投資を決めてきた。
知財王国の虚像
国連貿易開発機構(UNCTAD)によれば、日本の知的財産権使用収入は14年時点で368億ドルと、米国の1316億ドルに次いで世界第2位となっている。
収益を生み出す知的財産権の範囲は広く、映画や音楽、コンテンツにとどまらず、産業技術やコンピュータソフトなども含まれる。産業関連の知財も対象のため、全体でみると日本の存在感は大きく見える。
しかし、産業関連では、企業内取引が多くを占めている。海外からのラインセンス収入が大きい自動車などの輸送機械では、88%程度が親会社・子会社間の取引による収入となっている(特許技術年次報告書2016年版)。海外企業からラインセンス収入を稼いでいるとのイメージは、実態から大きくかい離することになりそうだ。
文化コンテンツについても支払いが大きく、著作権収支も赤字だ。日本貿易振興機構(JETRO)知的財産課の高村大輔氏は「日本はなかなか知的財産で稼ぐところまで行っていない」と指摘する。
トップを走る米国では、産業技術が37%、コンピュータソフトが30%、映画や音楽、コンテンツなどが15%など、多岐にわたる分野で収入を得ている。