中国鉄道市場は外国企業締め出しへ、海外展開にらみ国内企業に肩入れ
8月3日、中国の巨大な鉄道市場では外国企業の間から、国内産業育成を図る政府方針の下で入札基準が厳しくなり、案件の落札が難しくなっているとの声が上がっている。写真は中国の高速列車。上海で2010年10月撮影(2016年 ロイター/Aly Song/File Photo)
中国の巨大な鉄道市場では外国企業の間から、国内産業育成を図る政府方針の下で入札基準が厳しくなり、案件の落札が難しくなっているとの声が上がっている。
外国企業締め出しへの懸念はハイテクや再生可能エネルギーなど他の業種でも高まり、外国企業が中国国内で不平等な扱いに直面する例も目立つ。
鉄道業界の外資系サプライヤー4社は、中国政府の支援を受けた競合企業が急増したため、契約獲得が困難になったと語る。うち1社は既に差別的な扱いを受けたという。
ドイツのブレーキメーカー、クノールブレムゼのアジア太平洋部門取締役会長のアンスガル・ブロックマイヤー氏は「この1、2年で外資系企業を排除し、国内企業を優先する傾向が強まった」と話す。
ドイツのシーメンスやカナダのボンバルディアなど外資系企業の多くはこれまで、中国での合弁事業で出資比率を小さくとどめ、中国企業に対するサブサプライヤーにとどまり、時には技術移転にも応じるという形で、中国で事業を展開してきた。
しかし中国政府は今では鉄道車両メーカーである中国中車(CRRC)<1766.HK><601766.SS>を世界的な企業に育てようとしており、国内企業に肩入れしている。昨年発表された「メイド・イン・チャイナ 2025」計画でも鉄道は最優先セクターに挙げられた。
このため一部の業界関係者は、100%現地保有の企業が優遇される一方で、外資系企業が犠牲になるとの警戒感を強めている。
25年間ブレーキシステムを中国に納入してきたクノールブレムゼは昨年、中国11都市の入札で国内企業に比べて外資系企業の得点を引き下げる新たな基準に沿った入札書類を受け取った。この項目が響いて3つの案件で受注できなかったという。