任天堂がビジネスモデル転換、マリオでミッキーの後を追う
玩具メーカー、タカラトミー<7867.T>の広報担当者は、ポケモンGO配信後、ポケモン関連のおもちゃに再び関心が高まっていると指摘する。
主に円高を背景として4─6月期に連結営業損失を計上した任天堂は、「ゼルダの伝説」を含む人気シリーズのキャラクターライセンス化を拡大する戦略を打ち出すとみられる。
玩具メーカーのある社員は、任天堂のライセンス事業担当者はごく少数で、限られた企業としか取引していなかったが、IPビジネス拡大を打ち出してから、それは変わりつつあると語る。
任天堂の代表取締役でスーパーマリオの生みの親である宮本茂氏は、同社のキャラクターをゲーム機以外に広げ、収益を創出するライセンス契約の対象とする意欲が高まっていると指摘している。
宮本氏は6月末に行われた定時株主総会で、「結果が出るには時間がかかるが、ご期待いただければと思う」と述べ、ユニバーサル・パークス・アンド・リゾーツと基本合意し、テーマパーク事業に任天堂のキャラクターを提供することも始めていることを明かした。
落ち込む「Wii」
据え置き型ゲーム機「Wii」のブームが4年前に陰りを見せ、その後継機「Wii U」販売も低迷するなか、任天堂は赤字に苦しみ、同社の手元資金は約50億ドルまで半分以上減った。
「Wii」は2006年後半の発売開始から「Wii U」が発売される前年の2011年末までに約1億台売れた。続く「Wii U」はわずか1300万台売れたにすぎない。ゲームの場がリビングルームからスマホへと移ると、任天堂の携帯型ゲーム機「3DS」の売り上げは従来機の3分の1にとどまった。
不調なゲーム機ビジネスに集中できなくなることを警戒した任天堂はこれまで、他のプラットフォーム向けゲーム製造や、もうかるライセンス事業などを遠ざけていた。