最新記事

ホテル

「365日アートフェア」を掲げ、ホテル アンテルーム 京都が増床リニューアル

2016年8月19日(金)16時11分
小長谷奈都子 ※Pen Onlineより転載

1階の名和晃平によるコンセプトルーム。ベッド上には代表作品である「Direction」の新作、ソファ上部には彫刻作品を配置。作品が際立つよう、壁を薄いグレーで統一した無彩色の空間が落ち着いた雰囲気。彫刻作品「Ether」と採石場から持ってきた石で構成した庭もまた、部屋からつながるアート空間の一部だ。

 2011年、京都駅の南側の学生寮をリノベートし、誕生した「ホテル アンテルーム 京都」。"京都のアート&カルチャーの今"を発信するホテルとして、アートやモード関係者にもファンを多く得てきました。そして、今夏、学生寮だった別棟を新たに改装して67室を増床し、グランドリニューアルオープンしたのです。

(参考記事:海外旅行客にも人気の「ホテルクラスカ」に、"彩色と無彩色"がテーマの新しい客室が誕生です。

 アートディレクションを手がけたのは、名和晃平率いるSANDWICH。増床された各部屋には、それぞれ異なるアーティストの作品が展示されています。特に注目したいのが、1階に2室、6階に6室ある「コンセプトルーム」。名和晃平、ヤノベケンジ、蜷川実花など、日本のアートシーンの最先端で活躍する8組のアーティスト自らが、壁や床、家具、備品にいたるまで空間全体をコーディネート。部屋に一歩入れば、その独自の世界観を独り占めし、心ゆくまでアートを堪能できるのです。気に入った作品は購入も可能で、購入後は新しい作品が展示され、ホテル全体が新陳代謝していくというシステム。客室だけでなく、作品はパブリックスペースのあちこちにも展示され、著名アーティストから若手まで、これほどバラエティに富んだ作品が一堂に見られるのは世界的にも珍しいこと。まさに新しいコンセプトである"365日アートフェア"を体感できるでしょう。

(参考記事:これぞ、カステラ! 京都にできたポルトガル菓子専門店「カステラ・ド・パウロ」が人気です。

 ほかにも、オリジナルグッズや関連アーティストの作品を販売するショップが新設され、アーティストが滞在し、制作をするアトリエでは、作品が生まれる臨場感を目の当たりにすることも。エントランス近くの「ギャラリー9.5」では、現在、名和晃平、ヤノベケンジ、やなぎみわなど24組のクリエイターの作品が見られる「ULTRA×ANTEROOM exhibition 2016」を開催中(~9月11日まで)です。

(参考記事:アンクルトリスでおなじみの柳原良平、没後初の「企画展 柳原良平 海と船と港のギャラリー」が開催されます。

 京都駅の南側が、これからますます京都のアートの発信地として盛り上がっていく予感。いち早くお気に入りの部屋を指名予約して、躍動するアートと濃密な時間を過ごしてみませんか?

pen160819-2.jpg

ベッドボード上の巨大化した洋服のフックが目を引くこちらは、ヤノベケンジのコンセプトルーム。ナイトランプとして利用できる。写真には写っていないが、引出し取手を巨大化した、スツールとして座れるオブジェもある。

pen160819-3.jpg

満開の桜に圧倒される、蜷川実花によるコンセプトルーム。壁から天井、カーテン、ベッドカバーまで、グラフィックに配された桜の写真で埋め尽くされている。庭には桜の木が植えられた。

pen160819-4.jpg

美術家、矢津吉隆が運営する「KYOTO ART HOSTEL kumagusuku」のコンセプトルーム。"ホテルの中のホステル"という入れ子構造が面白い。映像を見るための最高の環境として、真っ暗闇の世界を作り上げた。テレビは大迫力の60インチ。

pen160819-5.jpg

中庭の「石庭 京都鳥瞰図」はartlessの川上シュンと金子カズキと、united flowersの田中孝幸のコラボレーション作。主木のヤマモモを京都御所に、鉄の間仕切りで京都を東西南北に貫く大通りと鴨川の流れに見立てたグラフィカルなデザイン。ここから始まる洛中への旅をイメージした現代版の石庭だ。© yuu kawakami

pen160819-6.jpg

新設されたショップでは、オリジナルグッズや関連アーティストの作品を扱う。

pen160819-7.jpg

ホテルの顔である名和晃平による鹿の剥製を使ったオブジェも新しい表情に。


HOTEL ANTEROOM KYOTO

ホテル アンテルーム 京都
京都市南区東九条明田町7
TEL: 075-681-5656

シングル¥6000~、庭付きツイン¥15000~、コンセプトルームツイン(朝食付)¥18000~
※すべて1部屋の価格。価格はシーズンにより変動します。

チェックイン10時、チェックアウト15時
www.hotel-anteroom.com


※当記事は「Pen Online」からの転載記事です。

Penonline_logo200.jpg






今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

尹大統領の逮捕状発付、韓国地裁 本格捜査へ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 8
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 9
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 10
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中