私がポケモンGO中毒になるまで
友人たちとの食事に向かう途中、私は彼氏を置き去りにして駆け出し、カイロスとプリンを捕まえた。彼はゆっくり歩きながら、ポケモンを自分に引き寄せていた。彼の中毒症状はかなり進行していた。
食事を終えると、私たちはポケモン追跡を再開したくてうずうずしていた。グリーンポイント・アベニュー駅の近くをうろうろして、ポケモンが増えるたびに大喜びした。
バーに入ったら、店内にいる全員がポケモンを探していた。バーテンダーにイシツブテを捕まえられる裏通りを教えて、ビールを1杯おごってもらった。店の裏手はスマホの画面の光であふれ、「捕まえた!」「これ何?」と声が上がっていた。
帰宅すると、私のアパートメントの周辺がポケストップ(モンスターボールなどのアイテムが手に入る場所)だらけになっているではないか。ポケストップの近くで有料アイテムの「ルアーモジュール」を使えば、ポケモンが30分間うじゃうじゃ出てくる。もちろん、私たちはそのモジュールを購入した。
その瞬間、私は自分がポケモンGO中毒になっていることを確信した。
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私だけではなかった。土曜日も日曜日も、大勢の人が通りをうろうろしていた。教会の前には一心不乱に画面をタップする集団。ウオーターフロントの公園も、ポケモンを捕まえようとスマホを見詰めている人々でごった返していた。川向こうの美しい都市の景観などには目もくれずに。
まるで催眠術のように
日曜日の夜になり、私と私の彼のポケモン熱もようやく冷めたかに思えた。私たちはその週の予定を話し合った。火曜日の夜はステーキを食べに行こうか。金曜日はコンサートだから、アルバムを聴いて予習を始めよう。私たちは普通の生活を取り戻しつつあった。
ただし、ポケモンGOは、まさに私のような人間を魅了するべく設計されている。思春期前をポケモン漬けで過ごした懐かしさと記憶を呼び覚ましつつ、ちょっとしたひねりを加えて、まるで催眠術のように未来的な新しさを感じさせる。
私はポケモンのレベルアップについておさらいできるサイト(昔よく見ていた)をブックマークしてから、スマホをロックして、ベッド脇のテーブルに置いた。彼氏の顔は、まだスマホの光に照らされていた。
© 2016, Slate
[2016年8月 2日号掲載]