ポケモンGOは大丈夫? 歩きスマホをやめたくなる5つの裁判例
なお、自転車で交通事故を起こした場合には、警察に報告する義務がある。また、負傷者がいれば救護する義務があり、救護せずに立ち去れば「ひき逃げ」に該当するのも、自動車やバイクと同様である(道路交通法72条1項)。
まもなく、「ポケモンGO」という大人気スマホゲームが日本にも上陸する見込みである。ゲーム世界と現実を重ね合わせた内容で、実際に街を移動しなければプレイできない。夢中になったプレイヤーが、つい「歩きスマホ」をしてしまう危険性と隣り合わせのゲームといえる。
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前方をろくに見ず、予期せぬ動きで外を歩き回る、危なっかしいプレイヤーが続々と増えるのではないかと心配されている。まして、自転車やクルマを運転しながらプレイするのは、もってのほかだ。
楽しいゲームに没頭しすぎた結果、現実がゲームオーバーに......なんてことにならないよう、常に周囲の状況を確認しながら遊んでいただきたいと、切に願うものである。
歩行中や自転車運転中の事故は、個人賠償責任保険をもって、あるいは仕事中や通勤中の事故であれば会社の労災保険をもって、金銭面はまかなえる場合がある。これらの保険は、加害者自身に重大な過失があっても補償するのが基本だ。被害者から損害賠償を請求されたとして、たとえ事故当時に「歩きスマホ」や「チャリ漕ぎスマホ」をやっていたとしても、補償の対象にはなるのだろう。
(※個人賠償責任保険は、自身や家族の自動車保険やクレジットカード、自宅の火災保険などに、付帯や特約として付いている場合がある)
とはいえ、本来、どんなに軽傷だろうと、他人を負傷させることはお金の支払いなどではとうてい済まない問題だ。まして、死亡や後遺症など、取り返しの付かない深刻な結果を引き起こした場合は、一生をかけて背負い、償う覚悟が求められる。
日常と、非日常は、紙一重。スマホを使うときは立ち止まり、歩き出すときはポケットへ。くれぐれも気をつけて、街を移動しましょう。
[筆者]
長嶺超輝(ながみね・まさき)
ライター。法律や裁判などについてわかりやすく書くことを得意とする。1975年、長崎生まれ。3歳から熊本で育つ。九州大学法学部卒業後、弁護士を目指すも、司法試験に7年連続で不合格を喫した。2007年に刊行し、30万部超のベストセラーとなった『裁判官の爆笑お言葉集』(幻冬舎新書)の他、著書11冊。最新刊に『東京ガールズ選挙(エレクション)――こじらせ系女子高生が生徒会長を目指したら』(ユーキャン・自由国民社)。ブログ「Theみねラル!」