史上最悪フロリダ銃乱射事件に使われた人気ライフル
だが、この間成長したのはシグ・ザウエルだけではない。銃器大手のスミス&ウェッソンのマイク・ゴールデンCEOは2006年6月、投資家向けの説明会で、同社の新型ライフルに対する「消費者の反応は非常に強く」、銃器産業における「ドル箱」になっていると述べた。
2015年に登場したシグ・ザウエルMCXは、ひときわ大きな称賛をもって市場に迎えられた。MCXはミリタリースタイルの半自動式小銃で、デザインも洗練されている。つや消しブラックで仕上げられており、軽量だ。
MCXはYouTube上で広告動画が数多く再生されるなど、インターネット上で大々的に宣伝されている。銃を持った男が戦場のような場所を横切りながらMCXで様々なターゲットを射撃する設定の動画もある。
撃つ喜び
MCXはデザインや組み立ての容易さ、使い易さといった点で、銃マニアからも絶賛されている。マイク・シアソンはウェブサイト「アンモランド」で、シグ・サヴァーMCXライフルは「銃器メーカーが製造した歴代で最高に組み立てやすいライフル銃」と評価した。ウェブサイト「銃に関する真実」のブロガー、ニック・レゴムはMCXについて「とにかくしっくりくる」と書いだ。「銃を持ったときのバランスが良く狙いを定めやすい。作動部品は反応が早く丈夫で、撃つと本当に気持ちがいい」
シグ・ザウアーで指揮を執り始めてすぐの2004年、コーエンはマーケティングの統括者としてバド・フィニを新たに雇い入れ、ブランドやマーケティング部門を監督させた。当時役員だったプレジャーによると、フィニは消費者市場でシグ・ザウアーの新たなブランド価値を確立する術を知っていたと、その力量を認める。
「フィニはマーケティング戦略を大きく転換させた。より優れたスローガンとモットーを生み出すなど素晴らしい仕事ぶりだった」。同社のウェブサイトでは、MCXを「戦闘用に開発された革新的な武器システム」と表現している。一般人向けには2000ドル以下で販売されている。
フィニもコーエンも取材に応じなかった。だがフィニは2013年、ラジオ番組のインタビューで戦略の成功について「この5~7年間は自分たちでも驚くほど上手くいった」と語り、2011年と2013年にニューハンプシャー州にある製造工場の敷地を2倍に拡大したと言及。事業の成長を後押ししたのは主にライフルの売り上げ増によると語っていた。