史上最悪の銃乱射、トランプが「イスラム入国禁止」正当化
Jim Young-REUTERS
<多数の死傷者が出た今回の銃乱射事件は、現場がゲイクラブだったことや犯人がイスラム系でテロ組織との関係が疑われることなどから、秋の本選に向けた政策論争に影響を及ぼしそうだ。共和党のトランプはさっそく、「イスラム入国禁止」主張の正当化を始めた>(事件現場となったフロリダ州のナイトクラブ)
バラク・オバマ大統領は、事件発生から数時間で声明を出した。「これはテロ行為で同時にヘイト行為であることは明らかだ。アメリカは悲しみと怒りの中で団結し、国民を守る決意を新たにする」と語った。しかし犯行が国外のテロ組織と関係あるかどうかについては、まだ詳細が不明なため「FBIが適切に捜査を進めている」と述べただけだった。
また現場がゲイ向けのナイトクラブだったことに関連して、「人種や民族、宗教、性的志向にかかわらず、どのアメリカ人に対する攻撃もアメリカ国民全体への攻撃であり、平等と尊厳を尊重するアメリカの根本的価値観への攻撃だ」と非難し、「いかなるヘイト行為、テロ行為もアメリカとその価値観は変えられない」と、攻撃の標的となったLGBTコミュニティへの連帯を呼び掛けた。
さらに今回の事件が、「簡単に武器を入手して、学校や教会、映画館、ナイトクラブで人々を銃撃できることをあらためて認識させる」と語り、「これが我々の望む国なのかどうか、判断しなければならない。このまま何もしないというなら、それも判断の一つだ」と、銃規制が喫緊の政治課題だという考えを示した。
【参考記事】内容は腰砕けだった、オバマの「銃規制案」
大統領選で民主党の候補指名がほぼ確実になっているヒラリー・クリントンもフェイスブックを通じてコメントを発表し、「これはテロ行為で、同時にヘイト行為でもある」と、被害者への連帯を呼び掛けた。さらに「戦争で使用される武器が街中に存在してはならないとあらためて考えさせる事件だ。共に立ち上がり、できることをすべてやる決意をする時だ」と、銃規制の必要性を強調した。