旧敵国ベトナムに塩を送る武器禁輸解除の真意
2016年6月2日(木)16時00分
政治犯を100人以上収監し、反体制派を弾圧しているベトナム政府にオバマが折れたのは、政策の一貫性という点では矛盾して見える。タイの場合、民主化に逆行はしているものの、その軍事政権はベトナムの共産政権ほど抑圧的ではない。オバマはベトナムとの戦略的な関係を維持するため、最近新しく成立した政権に大幅に譲歩せざるを得なかったという見方もある。
ベトナム戦争という不幸な歴史から、米政府の中にはベトナムとの関係正常化や貿易協定、戦略関係を追求するために、この国の人権侵害などを大目に見る者も多い。一般的には、オバマのベトナム訪問と武器禁輸措置解除を「過去に折り合いをつける歴史的な一歩」と歓迎する声が多いだろう。
しかし、オバマがミャンマーに要求したのと同じレベルの民主化を政府に求めることを期待していたベトナムの若い世代は、ソーシャルメディア上に失望と諦めの言葉を書き込んでいる。それは、ベトナムに対するアメリカの関わり方について彼らがずっと抱いてきた感情だ。
From thediplomat.com
[2016年6月 7日号掲載]
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