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米大統領選挙、「クリントンなら安心」の落とし穴

2016年4月27日(水)18時00分
安井明彦(みずほ総合研究所欧米調査部長)

 クリントンは、こうした選挙の雰囲気と合致していない。究極のインサイダー、エリート政治家であり、米国民が変化を求めるには、あまりに見慣れた存在だ。夫のビル・クリントン政権の経済政策(クリントノミクス)は中道路線の代名詞であり、外交政策は残された候補者のなかで唯一のタカ派といってよい。

 クリントンが「強い大統領」になるためには、米国民からの消極的な支持を、積極的な支持に変えていく必要がある。クリントンが目指すべきモデルは身近にいる。夫のビル・クリントンは、当選した1992年の大統領選挙において、春先の好感度の低さを大きく挽回した経験をもっている(図表3)。

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 クリントンが熱狂を呼び起こすことができれば、米国民の厚い支持だけでなく、政権基盤を強固にする舞台装置を手に入れられるかもしれない。大統領選挙と同じ日には、連邦議会選挙の投票が行われる。クリントンの勢いに導かれ、民主党が上下両院で大きく議席を伸ばす展開となれば、クリントンの政権運営は格段に楽になる。そうなれば、クリントンが強い大統領になる道が大きく開けてくるだろう。

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