三菱自、燃費不正の先行き見えず、グループからの支援は難航も
今回の不正は日産からの指摘で発覚。三菱自に代わって次期モデルの設計開発を担当する日産が昨年11月、現行車の燃費を試験したところ、走行抵抗値が国交省に提出されていた数値と明らかな開きがあったため、今年2月に両社で調査を開始。4月に不正が判明した。 日産は「現時点では提携関係に変更はない」(広報)としているが、同社幹部からは「三菱への不信感はもはや拭えず、関係を続ければ日産のイメージダウンにもつながりかねない」との声も漏れる。協業見直しや提携解消につながれば、生産拠点である三菱自の水島製作所(岡山県倉敷市)のさらなる稼働率低下を招きかねない。 <三菱グループの支援不透明> 三菱自が今後予想される経営難を乗り切るうえで、大きなカギになるのが三菱グループ各社の支援だ。2000年と04年にリコール隠しが発覚した際は三菱重工業<7011.T>、三菱商事<8058.T>、三菱東京UFJ銀行<8306.T>(当時、東京三菱銀行)の主力3社を中心に多額の増資を引き受けた。
この支援により、三菱自は13年に累積損失を解消、ここ数年の業績回復で財務体質も改善した。14年6月には、生え抜きの相川氏が社長に就任、前任者である三菱商出身の益子修氏による約9年間の経営再生を受け、SUVと電動車両を軸とした成長戦略に踏み出そうとしていた矢先の不祥事だった。
しかし、グループによる支援ができた当時とは違い、各社には上場企業として高い資本効率や出資に対する説明責任が株主から強く要求されるようになっている。さらに、三菱重は大型客船事業の遅れで損失を抱え、三菱商も資源価格の下落により業績が悪化しており、グループが三菱自に救いの手を差し伸べられる環境にはない。
「簡単に支援なんて言ったら、見識が問われる」とグループ大手のある幹部は三菱自への安易な救済論にくぎを刺す。株主への説明責任が果たせないという指摘だ。