熊本地震への米海兵隊オスプレイ派遣、その狙いは?
オスプレイは被災地の熊本でどう活動? 安全に懸念は? ネパールの前例
賛否の嵐を巻き起こしつつ 19日、熊本県南阿蘇村への救援物資輸送のため海自護衛艦「ひゅうが」に着艦する米海兵隊のオスプレイ(U.S. Navy / Gabriel B. Kotico)
「平成28年熊本地震」の航空輸送支援に、米海兵隊が垂直離着陸輸送機「オスプレイ」を派遣。日本の災害支援で同機が投入されるのは、今回が初のケースです。いったいどのように活動するのでしょうか。また、懸念はないのでしょうか。
「オスプレイ」である必要性は乏しい?
2016年4月17日(日)、安部首相は在日米軍から申し入れがあった熊本地震における航空輸送支援について、受諾する旨を明らかにしました。これを受けて、アメリカ海兵隊は普天間基地(沖縄県)よりMV-22B「オスプレイ」垂直離着陸輸送機を4機、岩国基地(山口県)へと派遣。18日中にもさらに4機、増派される予定です。
日本において発生した災害で、「オスプレイ」が派遣されるのはこれが初の事例となりますが、その特性や性能はどのように活かされることが想定されるでしょうか。
「オスプレイ」は飛行機に準ずる非常に優れたスピードと航続距離を持ち、かつヘリコプターのような垂直離着が可能な「ティルトローター機」です。こうした性能は、遠方に急遽展開したり、物資や人員を空輸するといった任務において発揮されます。
しかし今回の、本拠地である普天間基地から拠点となる岩国基地までの飛行は、それほど遠いとはいえません。また、岩国基地から被災地へ支援物資を輸送する際は200km前後の短距離を往復することになりますから、航続距離はあまり関係がなく、高速性能によって短縮できる時間も片道あたり十数分程度でしょう。負傷者などの急患輸送を担った場合でも、最寄りの医療拠点までせいぜい数十kmですから加速することもできません。したがって、「オスプレイである必要性」はあまり無いといえます。
なぜ「オスプレイ」が派遣されたのか?
では、なぜアメリカ海兵隊は「オスプレイ」を派遣したのでしょうか?