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東南アジア

南シナ海で暴れる中国船に インドネシアの我慢も限界

2016年4月6日(水)16時13分
リスティアン・アトリアンディ・スプリヤント

 インドネシア政府は従来、ナトゥナ諸島周辺での違法操業に付き添う中国当局の警備艇を無視する姿勢を示してきたが、今回は中国漁船事件の詳細を公表し、ソーシャルメディアにも載せた。外国漁船の違法操業に対する取り締まりを妨害する中国政府の横暴を、広く国内外の世論に訴えるためだろう。

 ナトゥナ諸島周辺を含む南シナ海で一方的な領海権を主張する中国の強硬姿勢に、インドネシア側は今まで外交ルートを通じた抗議だけで対抗してきた。しかし、もう我慢の限界かもしれない。インドネシア政府は先に、ナトゥナ諸島周辺における海軍防衛力の強化と取り締まりの強化を打ち出している。

 当然の対策だと言えるが、あいにく時期が悪い。中国側は人工島の建設などで南シナ海におけるプレゼンスを強化している。こうした人工島は、中国漁船団の基地として使用される可能性もある。

 そうした現実を前にして、インドネシア側にはどんな対応が可能か。強硬策に出るには、中国との関係悪化に伴う大きな代償を計算に入れる必要がある。その覚悟が、今のインドネシア政府にあるだろうか。

From thediplomat.com

[2016年4月 5日号掲載]

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