iPhoneロック解除方法、FBIの情報秘匿は正当化されるか
同グループで議長を務める、ホワイトハウスのサイバーセキュリティ―担当者、マイケル・ダニエル氏は2014年4月にブログで、秘密保持は時に正当化されると指摘。「脆弱性を明らかにすることは、テロリスト攻撃の阻止につながる極めて重要な情報を収集する機会を失うことになりかねない」と説明した。
国土安全保障省に勤務した経験を持つ、コンサルティング会社「レッド・ブランチ・コンサルティング」の創業者ポール・ローゼンツバイク氏は、アップルの脆弱性が同グループで審査対象にされなければ「衝撃を受ける」と述べた。ただ、FBIがファルーク容疑者の端末を保管しているとみられ、セキュリティー被害拡大の脅威はほとんどないことから、脆弱性の公表を余儀なくされる可能性は低いとの見方を示した。
過去に米国家安全保障局(NSA)で法務を担当した弁護士のスチュワート・ベイカー氏は、ロック解除技術がFBIに協力した第三者が所有しているものとされれば、審査プロセスは複雑化する可能性があると述べた。
FBIに協力した企業については、モバイルデータの犯罪捜査(フォレンジック調査)を手掛けるイスラエル企業のセレブライトだと一部専門家は指摘している。同社はコメントを控えている。
FBIが脆弱性の公表を免れても、アップルはロック解除方法の共有を引き続き要求することは可能かもしれない。
司法省は、薬物捜査に関連してアップルにアイフォーンのロック解除を命じるようニューヨークの裁判所に訴えている。関係筋によると、政府がこの要求を取り下げなければ、アップルはこの訴えを利用してロック解除に用いた技術をFBIに明らかにさせることができるかもしれないという。
一方、政府の審査がFBIに技術公表を求める結果になると考える専門家もいる。ジョージア工科大学の法学教授、ピーター・スワイア氏は、政府の規定は「幅広く利用されている商業ソフトウエアの防衛技術の重要性を強調」しており、アップルに脆弱性を伝える「揺るぎない」理由が存在するとの見解を示した。
(Dustin Volz記者 翻訳:本田ももこ 編集:加藤京子)