EU離脱を問う英国民投票、大手銀は選挙期間の意見表明手控えか
保守党の元閣僚で長年のユーロ懐疑派であるジョン・レッドウッド氏はロイターに対して「企業や資金のある国民が選挙にそれを使えるかに関しては明確なルールが存在し、彼らは従わなければならない。この法律は非常にはっきりしたもので、相当十分な根拠に基づいて策定されている」と話した。
主要業界団体の英国銀行協会(BBA)は、メンバーの銀行と接触し、選挙期間中の公的な対外発信のやり方を定めたルールの存在をあらためて強調している。ロイターがBBAの考え方が記された電子メールのコピーを入手した。
BBAは、国民投票に関する調査リポートや会議、夕食会、討論会、世論調査、あるいは自社のサイトに国民投票関連の何らかの情報を掲載することがすべてルールに触れる恐れがあると説明した。
自粛ムード
ロイターが取材した英国に拠点を置く有力銀行10行はいずれも、選挙ルールに関して法的な助言を受けていると回答した。一部は、社員へのアドバイスも実施している。
バンク・オブ・アメリカの広報担当者は、幹部向けに指針を出すなどの対策を取ったことを明らかにした。他の9行は「オンレコ」のコメントを控えた。
銀行関係者の中からは、顧客への定期的な経済調査リポートの配信までルールで禁止されることにはならないが、言い回しはおとなしめにしなければいけないかもしれないとの声が聞かれた。
英国を拠点とするある銀行の社員は、「(企業活動を)冷え込ませる影響が出てくる。この問題には慎重に臨む方が好ましいと考える金融機関が多くなる」と語る。
外銀の英国事務所で働く別のバンカーは「(ルールの)解釈が難しい。国民投票は通常の選挙とは異なり、より党派性が強く、双方の陣営が相手の揚げ足を取ろうとしている」とこぼした。
昨年9月に実施されたスコットランド独立の是非を問う住民投票に比べても今回の方がずっと注目度が高い、と複数のバンカーは指摘した。大半がEU残留を望む銀行セクターにとっては6月の国民投票がもたらすリスクははるかに大きいからだ。
(Andrew MacAskill、Anjuli Davies記者)