最新記事

円高

ドル116円後半、日銀のマイナス金利導入後1週間で5円超下落

アメリカの雇用統計の結果次第で116円割れとなる展開も

2016年2月6日(土)11時00分

2月5日、午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べわずかにドル高/円安の116円後半。都内のトレーディングルームで昨年3月撮影(2016年 ロイター/)

 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べわずかにドル高/円安の116円後半。前日の急落後、ドルは一時117円付近まで反発したものの、高値では輸出勢やファンド勢の売りを受け116円半ばまで再度下落した。市場の関心は今夜発表の米雇用統計で、内容が芳しくなければ116円割れとなる展開も見込まれている。

 午後3時までの取引でドルは116.55―116.99円の値幅で推移した。

 昨日海外市場で116.52円まで下落した際には実需の買いフローが見られたとされるが、きょう午前にドルが117円付近まで反発した場面では輸出勢の売りが出た。さらに海外ファンド勢が売りをかぶせたことで、ドルは116.55円まで下落した。

 29日に日銀が当座預金にマイナス0.1%の金利適用を決めてから1週間で、ドルは高値121.70円から116.52円まで5円以上下落した。

 「ドルが118円を下回った時点から、中期トレンドがドル安に転換した可能性がある」とFXプライムbyGMOの常務取締役、上田眞理人氏は指摘する。

 それまでは、リスク回避の環境でドル買いと円買いが同時に進行していたが、118円を下回って以降は、ドル買いのモメンタムが後退した。

 通常、ドルの急落後は、トレーダーや投資家らの押し目買いが入りやすいとされるが、今回は決算期末を控え「邦銀や生保など、機関投資家は動けないようだ。2月下旬には、米債償還に伴う季節的な円買いフローも予想される」(米銀)との指摘が出ている。

 「日銀のマイナス金利導入で、円売りポジションを作ったファンド勢は、みんな投げさせられた」(同)といい、目先、円売りで失敗した海外勢が新たな円売りポジションを積み上げる可能性は低いとみられる。

 市場の関心が集まっている米雇用統計については、ロイターがまとめた非農業部門雇用者増数の市場予想は19万人増。20万人を上回れば追加利上げへの思惑からドルが買い戻される可能性もあるが、予想を下回れば売りが加速するリスクもある。

 ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 116.85/87 1.1187/91 130.73/77

午前9時現在 116.85/87 1.1197/01 130.85/89

NY午後5時 116.76/78 1.1209/14 130.86/90

(為替マーケットチーム)

 

[東京 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ車販売、3月も欧州主要国で振るわず 第1四半

ビジネス

トランプ氏側近、大半の輸入品に20%程度の関税案 

ビジネス

ECB、インフレ予想通りなら4月に利下げを=フィン

ワールド

米、中国・香港高官に制裁 「国境越えた弾圧」に関与
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 8
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中